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クラフトビール解体新書

【クラフトビール解体新書 vol.11】ビールは作りたてが一番!ブリューパブ大集合 後編

シンガポールビールマスターHiroseが教える
【クラフトビール解体新書 vol.11】
ビールは作りたてが一番!ブリューパブ大集合 後編

皆様、こんにちは。

今月も楽しくビールライフをエンジョイしていますか?

前回に続き今回もブリューパブ特集です。ブリューパブとは簡単に言えば、ビールをその場で醸造し売っているパブのことで、平たく言ってしまえば作りたてを飲めるビアパブという事です。

そんな場所がシンガポールにもあるの?という方もいらっしゃるかも知れません。一番有名なのは前回紹介させていただいた、タイガービール工場併設の「タイガー・タバーン」だと思いますが、シンガポールには20年以上も前からそのようなブリューパブが他にも存在し、昨今のクラフトビールブームの追い風で、その数は現在15以上。過去最高に上っています。

作りたてをいただくというのは、その新鮮さもさることながら、大きな貯蔵タンクを眺めながら飲めたり、作り手と直接話すことが出来たりと、他にはない様々な魅力があります!

今回もまた、作りたて一番!のフレッシュで美味しいローカルビールを紹介していこうと思います!

<広瀬礼仁>
シンガポールのクラフトビール専門店「SG TAPS」店長兼ウエイター。
当地シンガポールにて、クラフトビール業界に5年程関わったのち、2018年4月に独立。ビールを始め、日本酒、ワイン、ウイスキーなど、アルコール文化に対する愛は誰よりも広く深いと自負している。

[Pink Blossoms Brewing] 

50 Ubi Ave 3, #01-12, Singapore 408866

こちらはできて1年ちょっとの若いブリュワリーです。まだ出来て間もないにも関わらず、オリジナリティーの高いハイクオリティーなビールをコンスタントに送り出し、シンガポールのクラフトビールシーンを牽引するブリュワリーになりました。

ニューイングランドスタイルやダブルドライホップなど、欧米からの輸入ビールでしか飲めなかった、当時の最先端スタイルをいち早くシンガポールで実現し、コアなクラフトビールファン以外の人達にもそういったスタイルを知らしめた功績は大きく、結果彼らのブリュワリーに小さくしつらえたわずか20席ほどのテイスティングルームは、工業団地のど真ん中という非常にわかりづらい立地にも関わらず、いつも込み合っています。

並々ならぬこだわりを持って醸造される彼らのビールは、そのこだわりのために極めて少量生産になっていて、彼らのこのテイスティングルームを除いてはめったにお目にかかれません。

その希少な彼らのビールが、このテイスティングルームを訪れれば、ずらりと12種類も並んでいて、しかも常に趣向を凝らした新作が用意されているとなれば、少々街から離れたところにあろうが、そんな事はものともせずにビール好きたちが夜な夜な集まってくるのです。

ダブルドライホップ・ニューイングランドスタイルという、非常にフルーティーでホップの香りが華やかなエールをフラッグシップとする彼らですが、それ以外にも着実にバラエティーを増やしており、セゾンスタイル、スモークエール、ミルクスタウト、サワーエールなどなど、小さな規模ながらもほぼフルレンジの品ぞろえを持つ立派なブリューパブとして、1年そこそこで飛躍的成長をとげました。

その真面目で堅実なビール造りは功を奏し、彼らのすべてのビールが世界のブリュワリーと比肩しうる、素晴らしいクオリティーとなっております。

近頃は、モザイク、シムコ―、サブロー、ギャラクシーなどホップの名前を冠した、ホップそのものを味わうIPAに力を注いでおり、それもまた世界の潮流を手堅く捉えていて、国内外に多くのファンを持つ要因にもなっています。

パイントは13.5~17ドルで税金サービス料はかからず、しかもたっぷりの量で提供してくれるので、かなりお得です。

フードは何もありませんので、持ち込みやデリバリー可となっています。

正直な気持ちとしてはこれ以上混んでほしくないので、あまり広めたくはないのですが、その反面彼らのビールは多くの人に一度は試してもらいたいという思いもあり、紹介させていただきました。

ここまで行くのが遠いという方は、私の店「SG TAPS」でも常時一種類はドラフトでお飲みいただけます。

*彼らはラガー・ピルスナータイプの一般的なスタイルは作っていませんので、それだけはご注意を。

  • 価格:安い
  • クオリティー:世界レベル
  • 雰囲気:店の小ささが逆に良い
  • トイレ:一つしかないので混んだときは駐車場のトイレを併用
  • アクセス:なかなか難しい
  • 一口ポイント:天国

[Brewerkz Riverside Point]

30, Merchant Rd, #01-07 Riverside Point, 058282

シンガポールのクラフトビールとしては一番古く、1997年創業です。なんと日本のクラフトビールの歴史とほとんど変わらぬ年数を誇っています。

クラークキーの川沿いにあり、リャンコートの対岸あたりになるので、日本人の方には馴染みのある立地です。すでに行ったことがある方も多いのではないかと思います。

このブリュワークスは現在島内に3店舗あり、その中でもこのリバーサイド店は、ドラフトが15種類と最大のバラエティーを擁しています。

創業時から長らく、ドイツ・イギリススタイルのクラシックなスタイルをベースに醸造されてきましたが、ここ数年のクラフトビールのトレンドを受け、昨年からスタイルを一新し、以前のスタイルをやや残しつつ、アメリカン・クラフトビールの方向性に大きく舵を切りました。

この数カ月は特に、以前はなかった、切れの良い香り豊かなホップのウエストコーストIPA、サワーエール、フルーツエール、度数の高いインペリアル系など、味のコンセプトをはっきりと分けた世界標準のラインナップへと変貌を遂げています。

それとともにクオリティーも大きく向上し、観光客や欧米人客の多いクラークキーエリアでも常に混雑している事を見ても、彼らのビールが国外にも認められるポテンシャルを持っていることがわかります。

内装などもリニューアルし、明るく開放的で入りやすい店内になり、それとともにフードメニューも新しくなりました。

ここの人気のもう一つの要因は、他のクラフトビールパブと違い、フードが非常に充実していることです。前菜からバーフード、メインデッシュまでしっかりとしたクオリティーのフードを揃えていて、デートや家族での食事など、多目的で活用できるため、幅広い客層に愛されています

パイントは14~16ドル程ですが、18時まではハッピーアワー15%オフということでお得です。

クラフトビール初心者でも入りやすいラインナップで、リャンコート近くという好立地ですので、シンガポールのクラフトビールを、まずはここからトライしてみてはいかがでしょうか?

*今回のリニューアルで醸造施設を外部に移したため、残念ながら以前のように醸造タンクが見られなくなってしまいました。その代わりバラエティーをグーンと増やし、フレッシュなビールを毎日直送しているとのことです。

  • 価格:まあまあ
  • クオリティー:良い
  • 雰囲気:初心者でも入りやすい
  • トイレ:きれい
  • アクセス:リャンコート近く。クラークキー駅から5分
  • 一口ポイント:シンガポールで一番古いクラフトビール

[The 1925 Brewing Co. Joo Chiat]

261 Joo Chiat Rd, Singapore 427515

こちらはJoo Chiat Rdという、イーストコーストの様々なエリアを結ぶ長い通り沿いにあり、イーストエリアとしては珍しいクラフトビール・ブリューパブの一つです。

こじんまりとしてやや暗めの、バーをイメージした落ち着いたインテリアと照明なので、通りから見てもあまり目立たなく、近くに住んでいても見過ごしてしまっている方が多そうです。

8タップのドラフトビールを揃えており、日によって異なりますが4~6種類が彼らのビール、それ以外はアメリカ・ベトナム・台湾などの他国のビールということです。

The 1925のオリジナルビールとしてポピュラーなものは「イエローバン・ペールエール」、「Blk622・ダークエール」、「涼茶ラガー」、「大白IPL」などで、どれもシンガポールや中華的文化からインスパイアされたネーミングになっているのがユニークな点です。

彼らのブリュワリーとしては8~9種類ほどのラインナップがあるのですが、それが常に全部あるわけではなく、たいがいは4種類ほどをキープしてあるそうです。ただ、それも品切れの時が多いので、実際には全8タップのうち彼らのオリジナルビールは2~3種類ほどの時が多いです。

ビールの特徴としては、比較的ライトで爽やかな飲み心地のものか、黒ビール系となっており、どれもバランスよく洗練されたテイストです。1パイント15ドル程となっています。

フードは軽いおつまみ類とローカルヌードルがあり、アジアンテイストでアクセントを付けたメニューたちは、ビールともよく合います。

この手のパブでちょっとしたおつまみがあるのはとても重要だと思いますし、実際そのおつまみのおかげか、いつも地元の若者でにぎわっています。

なかなか本格的なクラフトビールバーに出会うのが難しいイーストエリアでは貴重なお店なので、お近くの方はぜひ!

*こちらも以前は店内でビールを作っていましたが、バラエティーを増やすため現在は専用のブリュワリーで醸造し、フレッシュなビールを店舗に届けています。

  • 価格:まあまあ
  • クオリティー:品ぞろえが不安定
  • 雰囲気:落ち着いていて良い
  • トイレ:まあまあ
  • アクセス:アクセス MRTからは遠い
  • 一口ポイント:こじんまりとして落ち着く

[Stärker Signature]

5 Wallich St, #01-17/18, Singapore 078883

シンガポールではなくマレーシアで作られているというこちらのStärker(読み方はいまだに不明)は、すでに10年近くのキャリアを誇っており、イースト、セントラルパーク、ヒルビューなど、今や島内に8店舗を構える大グループに成長しています。

今回はロケーション的に一番便利かと思い、タンジョンパガーの店舗をご紹介いたします。

彼らのビールのコンセプトはとても明快でシンプル。ドイツビールをベースとしたフルーティーですいすい飲めるビールです。ラガー、エール、デュンケル。そしてアロマティック、チャコール、ライチという6種類の構成です。

後者の3種類はビールのカテゴリーではなく、味のイメージをそのまま商品名にしたもの。ビールは堅苦しく考えずにグビグビ飲むもんなんだよ、という彼らのフィロソフィーがそのまま彼らのビールに発露しています。

この彼らのフィロソフィーは終始一貫していて、フルサイズのグラスで頼むとまずキンキンに凍ったグラスでサーブされ、グラスがぬるくなってもまだビールが残っていると、もう一度凍ったグラスに注ぎ変えてくれるという、とても嬉しいサービスをしてくれます。

また、38ドル時間無制限飲み放題(土曜日のみ3時間)というお得なプランを毎日行っており、お財布も時間も気にせずに好きなだけ飲むことが出来ます。パイントは16ドル程ですので、飲み放題は断然お得です。

マレーシアで作られているもののなぜかマレーシアで販売されているのを見たことがなく、他の国でも見かけませんので、シンガポールのクラフトビールと言って差し支えないでしょう。

マレーシアから輸送しているとはいえ、どの店舗も込み合うStärkerでは、新鮮なうちにビールが回転していますので、いつ飲んでも作りたてのビールを味わえます。

全てのタイプが飲みやすくフルーティーで、黒ビールであるデュンケルやスモークエールと思われるチャコールであっても、ライトユーザーでも楽しめるようとても飲みやすく作られています。

ですので、この店のビールのコンセプト通りとてもすいすい飲めてしまいます。

それをさらに加速させるのが彼らのもう一つの自慢の、種類豊富なフードメニューです。

前菜、バーフード、サラダ、ピザ、パスタ、グリル、盛り合わせ、肉やシーフード、デザートに至るまで、レストランばりに実に多種の料理が用意されておりますので、どのようなシチュエーションにも対応できます。

様々なフードを楽しんでいるうちに自然とビールも進んでしまうというわけですね。

フードのクオリティーも高く、盛り付けもきれいですので、タンジョンパガー駅直上という場所柄、仕事後の晩御飯メインでの来店も多そうです。

本店であるセントラルパーク店からのアイデンティティーを受け継いで、ライブにも力を入れていまして、店内ではアコースティックライブが常時お客さんの耳も楽しませてくれます。

クラフトビールに詳しくなくても全然気兼ねなく入れますし、ビール以外のドリンクも多数そろっていますので、まずは気軽に一杯、お近くのStärkerへ。

  • 価格:飲み放題がお得
  • クオリティー:フルーティーでキンキン
  • 雰囲気:にぎやか
  • トイレ:きれい
  • アクセス:タンジョンパガー店が最高
  • 一口ポイント:究極に飲みやすいビール

[Paulaner Bräuhaus]

9 Raffles Boulevard, #01-01, Millenia Walk, 039596

ミレーニアウォークの入り口に店を構え、大きく作られた窓からは道行く人にもデーンとビール醸造タンクが見える、とても目立つお店です。

店内のほとんどの座席はハイテーブル・ハイチェアーで、いかにもビールを飲む雰囲気になっており、オフィス帰りの欧米人が楽しそうにビールを煽っている様はまさにビアホールといった光景です。

純然たるドイツビールとドイツ料理の店であり、ビールのラインナップはラガー、白ビール、黒ビール、季節ビールの4種類と極めてシンプル。パイントは16~18ドル程。ドイツビールらしく1リットルのマグも用意されています。

現在流行の、ホップが効いた華やかなクラフトビールのスタイルとは対極に位置する味で、モルトの旨味・甘味をこってりと携えた、奥ゆかしくも味わい深いクラシカルなスタイルは、まるでホームに戻ってきたかのような安心感と包容力に満ちていて、クラフトビールが多様化し複雑になりすぎた今となっては、ノスタルジーと合いまった心地よさを感じずにはいられません。

店内にドーンと鎮座するビールの貯蔵タンクや、高い天井のいかにもビアパブといった内装と共に、こだわりのドイツ料理がさらにビールを美味しくしてくれます。

何種類ものソーセージ、ポークナックル、シュニッツェル、ベーコン、ローストビーフ、煮込みなど、錚々たる肉料理の数々、ジャガイモ料理、ザワークラウト、ライ麦パンにプレッツェル。期待を裏切らない多様ばドイツ料理のバラエティーは、確実にビールの杯数を押し上げていくことでしょう。

料理の味はまさに本場仕立て。肉の扱いももちろん、バターやハーブや香草の上手な使い方には感心させられます。とてもクオリティーが高いので、この店に関しては、ビールよりもむしろ料理を目当てに行くほうがいいと断言します。

これだけのメニューを扱っていながら、他のバーのようにパスタやピザやバーガーは一切ありません。

そこはドイツ料理へのただならぬ誇りを感じます。

お昼から深夜までずっと開いていますので、お昼や夕方の軽い一杯にももってこい。

サンテックシティー辺りにお出かけの際には、ドイツビールでグイっと一杯、いいかも知れませんね。

  • 格:まあまあ
  • クオリティー:良い
  • 雰囲気:ザ・ビアホール
  • トイレ:きれい
  • アクセス:MRTからは少し歩く(Promenade/Esplanade)
  • 一口ポイント:純ドイツ

いかがでしたでしょうか?

前回に続き、その場で作られたビールをその場でダイレクトに飲めるブリューパブを紹介いたしました。

こうしてみると、ブリューパブはどちらかというとクラシックなスタイルのお店が多く、流行りのスタイルのクラフトビールバーに比べて、フードにもこだわっている所が多いなと思いました。

そして店の雰囲気も含めて盛り上がれるのも特徴かなと思います。

シンガポールという小さな国には、地産地消という言葉がとても似あうと思いますし、それを消費者も感じるからこそ、この狭いシンガポールでこれほどの数のブリューパブが出来ているのでしょう。

実は香港よりも歴史の長いシンガポールのクラフトビール、ぜひ味わってみてください。

ちなみにこの前編・後編には、以前すでに紹介しているブリューパブは含まれておりません。

On Tap Craft Bistro、Red Dot、Poco Loco、Beerfest、Little Islandなど、すでに記事にしているブリューパブもあります。こちらもそれぞれ個性的で面白いパブですので、ぜひ過去ログもお読みいただけますと幸いです。

SG TAPS
島内唯一シンガポールのクラフトビールが14種類、生で飲めるシンガポールビール専門店。 ボトルビールでは更に、日本、香港、ベトナム、台湾、インドなどのクラフトビールを揃え、アジアのクラフトビール文化を底上げしていきたいと考えている。 ラクサピザ、奄美鶏飯風チキンライスなど、ローカル、和洋食を絶妙に組み合わせたユニークなフードも人気。
https://www.facebook.com/SGTAPS13/

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