【2021年5月アップデート版】
皆様、こんにちは。
楽しくビールライフをエンジョイしていますか?
今までこのコラムを通して、かなりの数のクラフトビール店を紹介させていただいたと思いますが、それでもまだまだまだまだ紹介しきれておりません。こうしている間にも新しいお店がどんどん増えていて、ネタは増えているのに紹介が間に合わず、非常にもどかしい思いをしております。
さて、シンガポールのウエスト方面にはなかなか興味深いクラフトビールのお店が揃っておりますが、比較的地域密着型のお店が多く、離れたエリアの方にはほとんど知られていないと思います。
それでは勿体ない!離れたエリアと言っても狭いシンガポールですので、いつもよりも少しだけ足を伸ばしてみれば、それまで知らなかった楽しいお店に巡り合えます。
時にはちょっと時間をのんびり使って、クラフトビールの選択肢を広げてみてはいかがでしょうか?
GO WEST!
では、今回も紹介していきます!
<広瀬礼仁>
シンガポールのクラフトビール専門店「SG TAPS」店長兼ウエイター。
当地シンガポールにて、クラフトビール業界に5年程関わったのち、2018年4月に独立。ビールを始め、日本酒、ワイン、ウイスキーなど、アルコール文化に対する愛は誰よりも広く深いと自負している。
[Poco Loco]
【2021年5月時点アップデート】店名がFountain Microbrewery & Restaurantへ変更
21 Jurong Town Hall Rd, Level 2 Snow City S609433
イタリアンレストランにブリュワリーが併設されている、珍しいタイプのお店です。
ジュロン・サイエンスパークの隣にある人工降雪施設「スノーシティー」の二階にあり、そこでビールを自家醸造していますので、フレッシュなビールがリーズナブルに楽しめます。
クラフトビール屋がイタリアンを提供するのではなく、イタリアンレストランがクラフトビールを作っていますので、本流はイタリアンの方になります。そのため料理は本格的で、しかもかなりリーズナブルです。
元々シンガポールに4店舗を展開する有名なグループ店で、なぜかこのジュロン店だけが自家製ビールを作っています。アンモキオのお店が有名ですので、行ったことがある方もいらっしゃるかもしれません。
※現在はアンモキオ店は閉店
自家醸造のビールは5種類で、ラガー、デュンケルなどスタンダードなものが中心ですが、緑色のビールもあります。グラスがぬるくならないように特別なホルダーでサーブしてくれます。価格は9ドルほどです。
お料理は前菜、メイン、ピザ、パスタ、デザートまで多様な品ぞろえで、ホームメイドのパスタや窯焼きのピザなど、クオリティーは保証付きです。
こんな本格的なイタリアンで自家製クラフトビールが飲める。他にはまずないタイプのお店ですので、もっと知れてもいいと思うのですが…。
ちなみに料金は税金・サービス料込みですので、他のイタリアンから比べると3割くらいお得だと思います。
店内が広く、テラス席もあり、ご家族でも行きやすいと思いますので、ファミリーのお食事でも是非。
- 価格:ビール、料理共にリーズナブル
- クオリティー:良い
- 雰囲気:山小屋風
- トイレ:きれい
- アクセス:駅からは少し歩く
- 一口ポイント:リーズナブルな本格イタリアンと楽しめる
[The Good Beer Company]
2 Science Park Dr, #01-23 Ascent S118222
この店は、私認定「最もボトルビール・缶ビールの種類が多いクラフトビール店」です。
数だけ見ればもっと多いお店もあるのですが、200種類以上のボトル・缶を揃え、オールドタイプから最新のものまで、メジャーどころからマニア向けまで、クラフトビール先進国からサードワールドまで、あらゆるバラエティーを網羅しているという点で、このお店はシンガポールいちと言えると思います。
ビール好きと言っても色々。大衆的なラガーが好き、ホップの効いたIPAが好き、ドイツビールが好き、ベルギービールが好き、英国エールが好き、日本のクラフトビールが飲みたい、酸っぱいビールが好き、黒いのが好き…。
その全てに対応できるバラエティーを備えたお店だと思います。一緒に行った人とああだこうだ言いながら選んでいるだけでも楽しいです。
マネージャーの方のセレクションなのですが、若いのにビールの知識が豊富です。200種類ものビールの管理をするのは本当に大変なことですが、商品も定期的に入れ替え本当によく管理していると思います。マネージャーの彼はシャイな人らしくあまり積極的には話しかけてきませんが、ビールの知識は抜群で、聞けば色々と紹介してくれますので、迷ったら(というか絶対迷いますが)彼に尋ねてみるのがいいでしょう。
価格もかなり良心的で、かなりの種類を10ドル程度で買うことができます。税金・サービス料は取っていませんので、相当リーズナブルです。
生ビールも8種類あります。イギリスのものか、茨城県の常陸野ネストになります。実はここは常陸野ネストビールの卸業者の直営店なのです。価格は13ドルほどです。
おつまみは自家製ピザが数種類。こちらはまだ始めたばかりでメニューが未完成でした。系列店にイタリア料理店があるので、ドウから作るピザは本格的です。周りにも飲食店が何軒か集まっており、それらの店からテイクアウトで持ち込むことも可能です。
場所はMRTケントリッジ駅から上がって目の前ですので、わかりやすいです。
シンプルなデザインの店構えなので、気軽に入って1杯だけでも楽しめます。クラフトビール文化をまんべんなく味わいたい方はこちらに行かれるといいでしょう。
- 価格:安い
- クオリティー:良い
- 雰囲気:シンプルで気軽な感じ
- トイレ:きれい
- アクセス:駅から出てすぐ
- 一口ポイント:私認定「最も種類の多いボトルショップ」
[Sixteen Ounces Craft Beer Bistro]]
398 Upper Bukit Timah Rd The Rail Mall S678049
住人は多いがクラフトビール専門店が少なかったブキティマエリアにこの店が出来た時には、待ってましたの喝采が沸き起こったものでした。
場所は意外にも、何十年も前から存在するレトロなショッピングセンター、レールモールの中。
ドラフトはイギリス、アメリカ、シンガポールのもの中心に8種類。15ドル位です。他にもボトル・缶で30種類くらいあります。
バーガーやスペアリブなど、オーセンティックなバーフードを一通りそろえていて、味もなかなかのもの。ビールだけでなく料理も楽しめます。
ブリキっぽい店内はカジュアルな雰囲気なので、いつも若いお客さんでいっぱい。
このお店ができる前のレールモールはお客さんもまばらで、寂しい感じのショッピングセンターでしたが、近くにMRT青ラインの駅が出来、人の流れが戻ってきているようです。
このレールモールは、西部劇などに出てくるような鉄道の駅を模した外装が特徴のショッピングモールで、これまたレトロなパブ「ブロリーズ」なども入っている、昔から自分も好きなのんびりした感じの場所なので、復活してくれてとても嬉しい。
ちなみにこの「シックスティーン・オンセズ」のすぐ前が、旧マレー鉄道廃線の陸橋部分になっていて、誰でも簡単に入れるため、インスタや結婚写真撮影のメッカとなっております。ビールのついでに行ってみてはいかがでしょうか?
- 価格:まあまあ
- クオリティー:良い
- 雰囲気:カジュアルな雰囲気で若者向け
- トイレ:一つしかないのが難点
- アクセス:ヒルビュー駅から少し歩く
- 一口ポイント:ブキティマエリアでは貴重なクラフトビール店
[On Tap Craft Bistro]
【2021年5月時点アップデート】閉店
31 Bukit Batok Cres, #02-01 The Splendour S658070
ここに関しては本当に見つかりにくい場所なので、秘密基地にあこがれるタイプの人以外は、行こうとしない方がいいかも知れません。知り合いに何人か場所を説明しましたが、たどり着くまでに相当な時間を要したと全員から苦情を受けました。
工業用ビルの二階にありエレベーターで行くのですが、そのエレベーターまで全く看板などがなく、エレベーターに乗っても何の案内もないので、本当に正しいのか不安になります。
つまり、本来はお店ではなく、ビール工場に強引にビストロを併設させたスペースなのです。
それだけに、内装のむき出し感は他の店と段違い。テーブルの横には武骨な醸造機材が何台も不愛想に立っていますから、あ、ビールを作っているんだな、という印象を生々しく感じることができます。
ビストロとうたってはいますが、今現在キッチンを受け持っているのは、マックスウエル・フードコートにお店を持つ、英国料理「ラッド&ダッド」です。
こちらのお店はすでに4年ほど経営してはいるものの、キッチンのコンセプトは何度か変わっています。バースタイルの軽食からイタリアンになり、平和という和食に変わり、現在はこのラッド&ダッドになりました。キッチンはまだ不定期で開いているときといない時があるそうです。
しかしもし開いていたら、ラッド&ダッドは本格的なイギリス仕込みの料理ですので、一度試す価値ありです。
ビールは9種類あり、ラガー、小麦、エール、黒など、一通りのバラエティーを揃えています。母体であるオン・タップはホーカーセンター用に特化したカジュアルなブリュワリーだけあって、どれも飲み口の良いビールばかり。もちろんタンクのすぐ横で注ぐわけですから、新鮮さは折り紙付き。価格は12ドルほど。
場所を考えると正直おすすめはできませんが、私は大好きです。
誰も知らない店を探している、という方にだけお勧めします。
- 価格:まあまあ
- クオリティー:出来立て
- 雰囲気:工場の片隅で飲まされている感じ
- トイレ:きれい
- アクセス:過去紹介した中でワースト
- 一口ポイント:他人と違うことがしたい方向け
[Beerfest Singapore]【閉店】
4 Rochester Park, Singapore 139215
こちらも同じくブリュワリー兼ビストロです。
かつてはハイエンドでお洒落なレストランが立ち並んでいた、ロチェスターエリアの最後の生き残り。
ボナビスタ付近の、木々に囲まれた静かなロチェスター通りに、7~8年前に突如として洒落た店が軒を連ね、ハイエンドな消費者層にもてはやされた時期がありました。
しかし、集客の難しさと近隣の再開発で、一つまた一つと明かりが消え、この「ビアフェスト」はわずかな生き残り組となってしまいました。
しかしそんな状況の中でも、この「ビアフェスト」はいつも賑わっていて、まだまだその健在さを見せてくれています。
いくつもの特徴を持つこのお店の、最大の特徴は自家醸造ビールを提供していることです。ラガー、グリーンラガー、IPA、チェリービール、インペリアルスタウトなんて珍しいものもあります。
また、ビールの元になったと言われる「クヴァス」という、パンを発酵させたロシアのソフトドリンクも作っています。とても爽やかな飲み物です。
そして、もう一つの興味深い特徴は、オーナーがロシア人であることです。
直接的にロシアの雰囲気が出ているわけではありませんが、パンがライ麦の黒パンだったり、ヴァレーニキ、ペリメニなどのロシア餃子がメニューに入っていたり、ロシア人の好みである、先述のインペリアル・スタウトやクヴァスがラインナップされていたりと、よく見るとロシアの味を散見することができます。
他にも、ソーセージやグリル類やピザなどボリュームがあり、しっかりとした料理を提供しています。
またビールのプロモーションにも力を入れていて、時間によってはかなりリーズナブルに楽しむことができます。ちなみに、お昼からずっと開いています。
全てのテーブルは屋外席で、木々に囲まれた広々とした空間でゆったりと食事とビールを堪能することができます。もちろんお子様連れでも入りやすいです。
- 価格:まあまあ
- クオリティー:良い
- 雰囲気:まったり心地の良い、のどかな地域
- トイレ:まあまあ
- アクセス:ボナビスタ駅から10分ほど歩く
- 一口ポイント:実はロシア人がオーナー
[Orh Gao Taproom]
10 Jln Serene, #01-03 Serene Centre S258748
以前のコラムでも一度ご紹介いたしましたが、ブキティマエリアでは貴重なクラフトビール専門店なので、もう一度紹介させていただきます。
ローカルフードの軽食でチェーン展開する「キリニー・コピティアム」と店内を共有していて、ラクサやカヤトーストなど、安くておいしいローカルフードを食べながらクラフトビールも味わえる、ちょっと面白いお店です。
そのため、ビールを飲まずにコーヒーと食事だけの家族や若者も多く、客層は他のクラフトビールバーとは大分異なります。
言い換えれば、今までクラフトビール専門店に行くのに敷居が高く感じていた方でも、気軽に入りやすいお店だということです。
ドラフトは10種類で価格は15ドル程度。少なめの種類の割には、サワーエールや個性的なスタウトなど、マニアックなものを多めに入れている印象があります。
店内の雰囲気はキリニー・コピティアムそのものなので、そこにいきなりビールのタップが10個も付いたカウンターがあるのは、ちょっと異質な感じで面白いです。
ボトル・缶のビールも40種類ほどあり、アメリカ、シンガポールから南アフリカなどのものまで、バラエティー豊富で飽きさせません。ワインも40ドル台とリーズナブルに販売しています。
セリーンセンターという古いショッピングモールの中にあり、日本人会から近いので、そちらに用事のあるついでに一杯いかがでしょう?
前出の「レールモール」と同じくこちらも、MRT青ライン駅がすぐ隣に出来たことにより、人気のない古びたショッピングセンターに、若いオーナーの新しいお店がいくつも入り、モールにお客さんを呼び戻しました。シンガポールのタウンマップは常に変化していて面白いです。
- 価格:ビールはまあまあ。フードは安い
- クオリティー:とても良い
- 雰囲気:ビール屋というよりは完全にコピティアム
- トイレ:まあまあ
- アクセス:ボタニックガーデン駅すぐ
- 一口ポイント:がっつりローカルフードを食べられる
[Habitat by Honestbee]【閉店】
34 Boon Leat Terrace, #01-01, Singapore 119866
こちらもなかなかユニーク。お店ではなく、近頃話題の完全スマホペイのスーパーマーケット「ハビタット」です。
明るくおしゃれな店内で、散歩するように買い物ができ、支払いは専用のアプリでスキャンして簡単の完全キャッシュレス。買い上げた商品は、仕分け・包装用の機械が自動で梱包。その動く様子が見られたりと、何かと話題のお店です。
その中に二つのドラフトビールカウンターと、クラフトビールのボトルショップがあり、合計8種類のドラフトと、30種類ほどのボトル・缶ビールがその場で飲めます。
スーパーマーケットというよりは、商品をその場で楽しんでもらえるようにデザインされている店内なので、座席数は下手なホーカーよりも多く、お洒落なデリや丼物、生牡蠣、日本からのクラフトコーヒーまで、様々なものをテイクアウトして共用テーブルスペースで楽しめます。
とても自由度の高い空間なので、土日はファミリーのレジャーに、カップルのデートコースに、若者たちの遊び場にと、様々な用途で使われるため、いつも賑やかです。
9種類のクラフトビールはローカルのもの、オーストラリア、アメリカとバラエティーがあり、15ドルほど。ただ、アプリからオーダーしないといけないので慣れるまでは少し戸惑うかも知れませんが、慣れてしまえばとてもスムーズです。
このハビタットのワイン売り場の奥が隠れたバーになっていて、かなりの数のスピリッツ類やカクテルを本格的に楽しめます。しかもここもスマホペイ。
そしてすぐ向かいには、シンガポール産ジン「ブラス・ライオン」の蒸留所併設のおしゃれバーもありますので、二次会も不自由なし。
黄色ライン、ラブラドール駅から少し歩く不便な場所ですが、実は隠れたおしゃれ飲みエリアです。意外性が合って女性うけ間違いないので、知っているとポイントが高いかも。
- 価格:まあまあ
- クオリティー:良い
- 雰囲気:未来を感じる
- トイレ:とてもきれい
- アクセス:黄色ライン、ラブラドールパーク駅から徒歩10分
- 一口ポイント:ひそかなおしゃれ飲みエリア
[Obar NUS]【閉店】
30 Lower Kent Ridge Rd S119075
最後はどう紹介していいかわからないほど、強烈なお店です。
まずこのお店はシンガポール国立大学(NUS)の構内にあります。大学のど真ん中の学生会館のような所のロビーに、これ以上なくわかりづらい入り口があり、そこを開けるといきなりKTVのようなお店になっているのです。
店内にはカラオケやダーツがあり、数人の女性スタッフが働いています。お客さんは明らかに学生さんや教授ではなく、そのお姉さんと飲むために来た方々で、完全にNUSの雰囲気とは相容れていません。つまりKTVのようなというよりは、ほぼKTVです。
なぜその店をここで紹介するかというと、少し前までここはKTV兼クラフトビールバーで、5種類のアメリカのクラフトビールのドラフトを揃えていました。
残念ながら現在はクラフトビールはやめてしまいましたが、それでもまだその名残から、アメリカの「ストーン」というクラフトビールを提供していて、しかもそれがかなり状態が良い上に、パイント8.9ドルと破格です。他の店で調べてもらえればわかりますが、8.9ドルでストーンが飲める店などまずありません。
世界トップレベルの大学構内になぜこんな店があるのか?そしてなぜわざわざクラフトビールを売るのか?深夜1時まで開いている意味はあるのか?こんな場所で5年以上も経営が続いているのはなぜなのか…。シンガポールで一番謎の多いクラフトビール店として、自分は時々行ってしまいます。
注意:大学関係者でも見つけられないくらいですので、もし行かれる場合は頑張って探してください。
- 価格:破格
- クオリティー:かなり良い
- 雰囲気:KTV
- トイレ:きれい。水泳部のシャワー室も兼ねる
- アクセス:ボナビスタ駅から95番バス。かなり遠い。
- 一口ポイント:東大レベルの大学構内にある
というわけで、ウエスト方面のお店を紹介させていただきましたが、こう並べてみると本当に個性的なお店ぞろいですね。書いていて自分もまた行きたくなるお店ばかりでした。
ウエスト方面に住んでいる方から、クラフトビールのお店がなかなか見つけられないとの声を時々聞きますが、探してみればあるものですね。
ウエストにお住まいの方以外でも、わざわざ行く価値ありの店ばかりですので、普段とちょっと違うエリアでのビール探し、楽しんでみて下さい!
シンガポールのおすすめクラフトビール
過去のクラフトビールコラムはこちら⇩
https://byst.sg/category/blog/food-drink/craft-beer/
SG TAPS
島内唯一シンガポールのクラフトビールが10種類、生で飲めるシンガポールビール専門店。 ボトルビールでは更に、日本、香港、ベトナム、台湾、インドなどのクラフトビールを揃え、アジアのクラフトビール文化を底上げしていきたいと考えている。 ラクサピザ、奄美鶏飯風チキンライスなど、ローカル、和洋食を絶妙に組み合わせたユニークなフードも人気。
https://www.facebook.com/SGTAPS13/