【クラフトビール解体新書 vol.21】まだまだ増えるよ新クラフトビール店

皆様、いかがお過ごしでしょうか?

再び店内飲食が、1グループ2名までに縮小されてしまったり、コロナの状況は一進一退。なかなか先行きが見えませんね。。。

そんな時はやはりビールを飲むに限ります。こうしている間にも、ビール市場にはどんどん新しい商品が出回り、ブリュワリーもよりユニークなものを作るべく、日々研鑽しています。

世界中から最先端のビールがいち早く届くシンガポール、それだけではなくクラシカルなパブも充実していて、古今東西のビールにありつける。ありがたい限りです。

そんな中でも日々新しいクラフトビール店が出来続けています。若いローカルオーナーさんたちは、アイデアも柔軟性も行動力もあり、個性的で楽しいお店がどんどん増えているのは嬉しいです。もちろん私の店も負けてはまずいと焦ったりもしますが笑。

何はともあれ、新しいお店や新しいブリュワリーの、今までになかったような発想を目の当たりにすると、こちらも気合が入り、脳みそが活性化する気がします。いや、気がするだけなんですけど。

それでは今回もお楽しみ下さい!

<広瀬礼仁>
シンガポールのクラフトビール専門店「SG TAPS」店長兼ウエイター。
当地シンガポールにて、クラフトビール業界に5年程関わったのち、2018年4月に独立。ビールを始め、日本酒、ワイン、ウイスキーなど、アルコール文化に対する愛は誰よりも広く深いと自負している。

[Ziggy Zaggy]

51 Kampong Bugis, #01-04, Singapore 338986
Tel : 8628-0775
営業時間:火~金12:00-22:00 土日 10:00-22:00 月曜定休
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カランリバー近くの広々とした緑地の中にある、最近できたコンドミニアムの1階にオープンしたクラフトビール店で、インテリアなどがとても凝っていてお洒落で、ここ数か月内にできたクラフトビール店の中では比較的大きく話題になったお店です。

このあたりの有名店と言えば「Camp Kilo」というお洒落なグリルダイニングがありまして、このお店でさえも“こんな所に??”という驚きの立地なのに、このZiggy Zaggyはそのさらに奥の、ちょっと人目には付きにくいロケーションにあります。

しかしながら、目の前に一面の草地が広がるというシンガポールとしては稀有なロケーションで、とても開放感があり、テラス席で飲むのは最高に気持ちがいいです。

インテリアも、バイクや自転車のホイールなどを基調としたユニークなコンセプトで、バーカウンターの柄はタイルなのかと思いきや、昔懐かしのフロッピーディスクを張ってあったりと、お洒落なだけではなく個性あるデザインです。

ドラフトビールは全16種類で、シンガポールのビールを始め、イギリスやアメリカの物を揃えています。ややイギリスの物が多いかなという印象です。

缶のクラフトビールも20種類程あり、こちらはより通好みのビールを揃えています。

フードメニューはフィンガーフードから、ピザ、パスタ、バーガー、ステーキなど、メイン料理までしっかりと揃えており、ゆっくりとお食事をしながらビールを楽しめます。ボリュームもあって美味しいお料理です。

お昼からずっと開いていますので、早い時間に明るく開放的な雰囲気の中で飲むのがおすすめです。

  • 価格:普通
  • タップ数:16
  • ビールのクオリティー:良い
  • 雰囲気:とても凝ったインテリア
  • トイレ:広いし個室も多くきれい
  • アクセス:ちょっと難しい
  • 一口ポイント:最近出来たお店の中では一押し

[Temple Cellars (Binjai Park)]

31 Binjai Park, Singapore 589832
Tel :  8800-2976
営業時間:12時~20時 定休なし
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ブキティマの住宅街の中にある、テイクアウトに特化した郊外型のボトルショップです。

日本人にもなじみが深いUEスクエアのテンプルセラーズの2号店になります。

今のところは原則的に持ち帰りのみで、店内での飲食サービスはしていません。

しかしながらシンガポール随一ではないかというほどのビールの品ぞろえがあり、あらゆるジャンルのラインナップを網羅しています。

自社の輸入ビールが多いので、価格も比較的リーズナブルです。

ビールだけではなく自社輸入のワインや、日本酒のセレクションも幅広く、リキュールやスピリッツも扱う総合的なリカーショップとなっています。

周囲は完全な住宅地で、このエリアに住む人でなければなかなか来づらい場所にあります。

ここから遠い方はわざわざここまで来ずに、一号店のUEスクエアに行く方がよいでしょう。そちらの店舗でも十分な品揃えですし、UEの店舗は少ないながらも店内で飲めるスペースがあります。

ただ、こちらのビンジャイ・パークの店舗は、とてもおしゃれに作られてあり、奥の方にバーカウンターのような空間が見えることから、もしかしたら店内で飲めるようになるのではないかと期待して、時間があると覗いてしまいます。結局いつも店内では飲めず、外で立って飲むことになるのですが。

もし店内で飲めるような進展があればまたレポートします。

  • 価格:リーズナブル
  • タップ数:現在のところ無し
  • ビールのクオリティー:良い
  • 雰囲気:シックでお洒落
  • トイレ:きれいだが使う機会はない
  • アクセス:地元の人以外は難しい
  • 一口ポイント:島内随一のボトルショップ

[Abundance]

63A Lengkok Bahru, #01-378, Singapore 151063
Tel : 8032-1880
営業時間:火~土 11:00-22:30 日 11:00-21:30 月曜定休
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今までクラフトビール不在だった、というかお酒を飲むお店自体がほとんどないと言われる、レッドヒル駅前に忽然と現れた貴重なお店です。

MRTの駅を出て道を渡ってすぐという、立地的にもとても素晴らしいお店で、近隣の地元住民の若者たちが待ってましたとばかりに駆けつけています。

立地だけでなくコンセプトもまたユニーク。店名にある通り、Bunつまりパオ、ふっくらした中華バーガーをお食事のメインに据えたお店です。

とろとろの豚肉とシャキシャキした漬物をはさんだパオは、おつまみとしてもお食事としても最高。

ビールとも合いますね。

パオの他にも数種のチャーハンやマーラーワンタン麺などがあり、お昼はお食事がメインのようです。

シンプルでわかりやすく、ちょっとエッジが効いたモダンなコンセプトだからこそ、若者たちをひきつけているのでしょう。デートと思しき若いカップルが入れ代わり立ち代わり入ってきます。

ンテリアデザインもいかにも今風で、小ざっぱりとして清潔感はあるけどいたってシンプルで、ちょっと休憩という感じで気軽に立ち寄れそうです。

オーナーさんご自身も若いシンガポール人で、今のシンガポールのクラフトビール業界は20代~30代の若い世代が牽引している、というのを確かに感じられ、そういった人たちの熱量を感じられるうちは、まだまだシンガポールクラフトビール業界は面白いことが起きそうだとワクワクします。

こちらのドラフトビールは7~8タップ。シンガポールのものが中心のようで、イギリスや香港のビールもあります。ボトルも20種類くらいあり、こちらはちょっとマニアックなものも揃えています。

ビールだけではなく、ちょっとしたカクテルもあるみたいです。

非常に良い立地ですし、ガラス張りの店内は陽光が入って気持ちいです。

特に近くにお住まいの方にはおすすめです。お散歩やお買い物のついでにでも気軽に寄ってみてください。

  • 価格:フードがリーズナブル
  • タップ数:7~8
  • ビールのクオリティー:よい
  • 雰囲気:シンプルでこざっぱり
  • トイレ:狭い店なのに店内に用意したのはえらい
  • アクセス:レッドヒル駅すぐ前
  • 一口ポイント:中華パオとビールというユニークな店

[Dusk X Dawn]【閉店】

Guoco Tower, 5 Wallich St, #01-17/18, Singapore 078883
Tel : 6970-7888
営業時間:月~土 11:30-22:30 日曜定休
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皆様もきっとよく目の前を通っているであろう、タンジョンパガーの駅を上がってすぐのところにあるお店です。

JRカフェのすぐ隣で、以前Starkerという別のクラフトビール店だった所に、半年ほど前にオープンしました。

一見クラフトビールという感じは受けず、洒落たダイニングバーという感じですので、気づかずに通り過ぎているかもしれません。実際にクラフトビール専門店ではありませんが、カウンターをよく見ると小さいけど美しい銅色の立派なビールタップが据えられています。

ドラフトビールは4種類で、スタッフの方に聞いたところ、どちらかのブリュワリーでOEMとして作ってもらっているとの事で、このお店のためのオリジナルビールのようです。

へレスとペールエールを飲みましたが、どちらも爽やかでバランスが良く、するっと飲める飲みやすいビールでした。

ダイニングバーですので、お料理のバラエティーはさすがです。ケイジャン風のおつまみや、ソフトシェルクラブや、サラダボウルやシーフード、熟成牛のステーキまで、他のクラフトビール店とは一線を画す本格的なフードメニューが並びます

立地もよく、上質でお洒落なインテリアで、デートなどにも使いやすい雰囲気です。

お酒を飲めない方でも楽しめるお店ではないかと思うので、ビールが苦手な方と行っても大丈夫かと思います。

  • 価格:まあまあ
  • タップ数:4
  • ビールのクオリティー:良い
  • 雰囲気:他のクラフトビール店とは一線を画す雰囲気
  • トイレ:きれいだけど少し遠い
  • アクセス:タンジョンパガー駅すぐ上
  • 一口ポイント:どちらかと言えば創作ダイニング

[Hop Around @ Bedok North]

217 Bedok North Street 1 #01-63, Bedok Town Centre, Singapore 460217
Tel : 9850-1585
営業時間:月~木 12:00-21:00 金 12:00-22:00 土 11:00-22:00 日 11:00-21:00 定休なし
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最近いくつか目立つようになってきたHDB/コンド直下型のボトル・缶ビールショップです。

このタイプのお店はじわじわと増えてきていて、狭い店内に大きな冷蔵庫だけがドカーンとある、基本的に店内でも屋外でも座って飲めるような席は用意していない、当然おつまみなども用意していない、店員さんもキャッシャーのアルバイトみたいな人が多いので、専門的な知識は期待できない

という感じのお店が多いようです。

コロナ禍の中、在宅勤務が日常になるにつれ、首都圏のお店よりも郊外の住宅地の地元密着型のお店が需要を伸ばしているというのは、最近の記事では毎回書いている気がしますが、このようなボトル・缶ショップの出現もそれを顕著に表しているものと思います。

また、地元密着型の特徴の一つとして、若い客層が増えている。今まで都心部でこういったビールを買っていた層がある程度増えたことにより、自分の地元にもクラフトビール店を求める傾向が出てきたのかな、とも考えられます。

なんにせよ、今までクラフトビールに無縁だった郊外集合住宅の中にビールショップが出来るのは、すそ野も広がるし大歓迎ですね。

こちらのお店も前述の特徴がほとんど当てはまり、座席は2席のみ。店内にはボトルの冷蔵庫しか見当たらず、食事もありません。

アメリカ、ベルギー、イギリス、シンガポール、ドイツ、ベトナム、などなど色々な国のビールが並んでカラフルですので見ていてとても楽しいです。

若い女性スタッフがキャッシャーをしていて、クラフトビールを勉強したいと言っていたので、私の買ったビールを一緒に飲みながらビールのテイスティングをしました。

もしかしたら今は結構知識を身に付けているかも知れませんね。

とても貴重なベドックエリアのクラフトビール専門店です。

お近くの方はぜひ。

  • 価格:ややリーズナブル
  • タップ数:無し
  • ビールのクオリティー:良い
  • 雰囲気:ボトルショップ
  • トイレ:無し(多分)
  • アクセス:ベドック駅から約10分
  • 一口ポイント:このエリアでは貴重なクラフトビール専門店

[Pink Blossoms Brewing Tampines]【閉店】

18 Tampines Industrial Cres, #01-16, Singapore 528605
Tel : 無し ニュー・ウビン・シーフード Tel : 9740-6870
営業時間:火~金 17:00-22:00 土日 12:00-22:00 月曜定休
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ウビという工業地帯の真ん中にあり、人気のない場所で驚きの混雑を見せている、人気クラフトビールブリュワリー「ピンクブロッサム」についに二号店がオープンしました。

彼らはそもそもブリュワリーとして自分たちのビールを何種類も作っていて、そのテイスティングルーム的な位置づけで、ブリュワリー併設という形で小さなバーを横にオープンしていましたが、そのバラエティー豊かでハイクオリティーでさらに個性的なビールのラインナップはたちまち評判になり、今では毎日満席という大人気店となってしまいました。

彼らを大躍進に導いたのは、当時人気が爆上がりしていた“ニューイングランドIPA(NE IPA)”というスタイルのビール。まだこのNE IPAを作るブリュワリーはシンガポールでは少なかった頃に、創業とほぼ同時に彼らなりのアプローチでNE IPAをリリース。その圧倒的な個性と美味しさで、あっという間にマーケットを席巻し、シンガポールを代表するIPAとなりました。

それからも様々なIPAを始め、サワーエール、ベルギースタイルエール、インペリアルスタウトなど、挑戦的なビールからクラシックなスタイルまで、意欲作を次々と創り上げ、それらを自社併設のバーカウンターだけで飲めるようにしたため、欧米系を中心とするクラフトビールファンたちが押し寄せ、狭い店内は6時にはもう入店できないほどの混雑となりました。

今回彼らが満を持して出店したのは、タンピネスのIKEAやジャイアントなどの巨大モールが並ぶエリアの一角。

コーヒーショップ的な空間ですが、有名店である「ニュー・ウビン・シーフード」を中心に、ヌードルや中華料理などの小さな店舗が集合しています。その中の一つのストールがピンクブロッサムで、8種類~12種類のドラフトビールを提供しています。

ウビの本店はフードを提供していないため、持ち込みやフードデリバリーは自由ですが、それでもどこか味気無さが残ります。

美味しいビールにはやはり出来立ての美味しい食事があって欲しいという、ピンクブロッサムファンの暗黙の心の声が一気に解消された形となりました。

ニュー・ウビン・シーフードとピンクブロッサムのコラボは至高と言って間違いありません。

ニュー・ウビンはシーフードだけでなく、中華料理全般を網羅するレストランであり、彼らのもう一つの看板メニュー、アンガスビーフのサイコロステーキはジューシーな赤身肉でボリュームもたっぷりで、クセになる炊き込みご飯も付いてきて、ビールと合う事間違いなしです。

ウビ本店のもう一つのネックでもあった店舗の狭さもこちらでは気にすることなく、コロナの規制にもよりますが、8人くらいまでは一つのテーブルに座ることができそうです。

また、ウビ本店は込み合う割にトイレが一つしかなく、ピーク時は長く待つこともありますが、こちらはトイレも比較的清潔で十分な数が用意されているのも高ポイントです。

場所はかなり郊外になってしまいますが、シンガポールのクラフトビールを味わうなら、一度は行く価値のあるお店です。

  • 価格:リーズナブル
  • タップ数:8~12
  • ビールのクオリティー:最高
  • 雰囲気:広々としたホーカーという感じ
  • トイレ:この雰囲気にしては清潔
  • アクセス:とても遠いし、見つけづらい
  • 一口ポイント:ピンクブロッサムとニュー・ウビンの奇跡のコラボ

という感じで今回も紹介させていただきました。

よく、どうやってそんなにお店を見つけられるんですか?と聞かれるのですが、私自身クラフトビール店発見をライフワークにしていまして、とにかく始終Facebookやインスタグラムを見ながら、何か新しい情報はないかと探してはおります。

しかし、それだけではこれだけの数のお店を探すことはできません。

私が目を皿のようにして常に探しているのを知っているローカルのお友達やお客さんが、ヒロセよ、この店は行ったことあるか?と親切に情報を持ってきてくれるのです。

特にシティーではなく郊外・地元密着型が増えてきた今、ローカルの方の協力なしでは探すのが難しいお店がとても多いのです。

そして読んできださった方から、あのお店良かったよ!と言っていただけることが何よりも継続のモチベーションとなります。

皆様の力が有って、このコラムも継続できています。感謝の気持ちしかありません。

それではまた次回、お会いしましょう。

*営業時間はGoogleマップの情報を元に記載したものですが、Googleへの連絡なしに営業が変更になっていたり、あるいは暇だと早めに閉めてしまったり、シンガポールではよくあることですので、確実に入店するには、行く前に電話で確認することをお勧めします。

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シンガポールのおすすめクラフトビール

過去のクラフトビールコラムはこちら⇩
https://byst.sg/category/blog/food-drink/craft-beer/

SG TAPS
島内唯一シンガポールのクラフトビールが18種類、生で飲めるシンガポールビール専門店。 ボトルビールでは更に、日本、香港、ベトナム、台湾、インドなどのクラフトビールを揃え、アジアのクラフトビール文化を底上げしていきたいと考えている。 ラクサピザ、奄美鶏飯風チキンライスなど、ローカル、和洋食を絶妙に組み合わせたユニークなフードも人気。
https://www.facebook.com/SGTAPS13/

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