シンガポールを代表するトップソムリエから楽しく学ぶ大人のたしなみコラム vol.7 ~ワインに合う○○? いえ、○○ならこのワイン!~

こんにちは!“ワインに合う○○”という表現に納得のいかない反抗期ソムリエ、渋谷です!

よく商品説明でこういう言い回しを聞きますよね?

でも「そりゃそうでしょ」としか思えません。

というのも、世界に散らばる数千・数万ものワインを探せば、何かしらのワインは合いますからね。

なので、ワインに合うというからには、そのワインまで書いてほしい!

と思ってしまいます。

その点“シャルドネを入れたチョコレート”などはわかりやすいですね。

とは言え、特にシャルドネと合わせるためのチョコではなさそうです…

チョコと言えば以前、貴腐葡萄をチョコでコーティングしたお菓子を食べたことがあります。

(貴腐葡萄をご存じない方は、めちゃくちゃ甘いドライレーズンと思ってください)

これは言わずもがなデザートワインと合う事間違いなしですが、私はイタリアの赤の甘口ワインRecioto della Valpolicella (レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ)と合わせました。

ポルトガルのPort (ポート)でも抜群でしょう。

う~ん、聞いてるだけでも美味しそうですよね!

さて、このようないわゆるワインペアリングですが、どのようにペアリング候補を導けばよいのでしょうか?

今後数多のワインペアリングディナーに参加するときも、舌で味わうだけではなく頭で考えながら楽しんでみると、その店・料理人・ソムリエ達の想いの理解が深まり、お値段以上のさらなる体験が出来ますよ。

というわけで、今月はペアリングのコツを少~しだけお伝えします。

渋谷 大輔(しぶや だいすけ)

2020年 アジア – フランスワイン ベストソムリエコンクール 準優勝
SUN with MOON Japanese Dining & Cafe所属

<資格>
Certified Sommelier by Court of Master Sommelier
WSET Advanced Certified in Wine & Spirits
インターナショナルワインチャレンジ酒部門 准審査員
WSET Advanced Certified in Sake

<受賞歴>
2019年 シンガポール – フランスワイン ベストソムリエコンクール優勝/アジア大会シンガポール代表
2019年 シンガポール – アメリカワイン ベストソムリエコンクール優勝

少~しと言うのも、やはりここで詳しくお伝えすると、ワイン講座にご参加してくださる生徒さんに申し訳ないので、さらに詳しく知りたい方は、是非とも講座で直接聞いてください!

そのワイン講座ですが、派遣元はSUN with MOON Japanese Dining & Caféという日本食レストランになります。

そこではリーズナブルな日本食を提供しながらも、3つある個室では特別なコースもご用意しており、もちろんご要望とあらば私の得意とするワイン・日本酒を中心にペアリングのご提案もさせていただきます!

でも現在は新しいお店の立ち上げがありますので、タイミングが合わなかったらすみません…

お問い合わせはお店までお願いします!

内容はサクッとこんな感じです♪

このコースの目玉は、何といっても

個室貸し切り!!

だけではなく……

目の前で寿司を握ってもらえること!!!

今のところ最高5名様までテーブルを囲えるので、むしろ今の時期だからこそ上限5名様限定でこれら個室コースを満喫いただけるかと思います!!!

是非是非、ご賞味ください!

と言ったところで今月の本題に移ります。

ペアリング、要するに食事とワインの組み合わせです。

まずは五味を基本軸として考え、同じ要素を合わせる、異なる要素をぶつける、足りない要素を補う、という事を行います。

これらは順にそれぞれ初級、中級、上級くらい難しくなります。

それに加え、味の強さや温度などがあり、これは中の下.中の上というところでしょうか。

とにかくわかりにくくてすみません。。。

ですので、今回は初級の“同じ要素を組み合わせる”ことから始めましょう♪

でも再び「どうやって?」という声が上がると思います。

同じ要素を合わせるのは本でも見るけど、現実的ではなかったりするもの。

なので、わかりやすくシンガポールでよくある3コースランチ、前菜・メイン・デザートを例に進めていこうと思います。

もちろん前菜数種、メイン数種というパターンで👍

そして出来るだけ参考にと思い、実際にレストランで置いていそうなワインでお勧めします👍

但し、写真は参考であり、実際にお店で見つかるのは異なる生産者だという事を、予めご理解ください。

さて最初の前菜ですが、フレンチ・イタリアン・中華・etc.どの料理にも必ず合わせる“要素”というものが潜んでいます。

それは単純に、野菜・魚・肉です。

ですが、このメイン食材ではなく、それを支えるサブ要素を探すことで、ペアリングの幅がグッと広がります。

まず前菜に野菜料理を選ぶ場合からご紹介いたします。

野菜と言えば葉野菜、根菜などありますが、重要なのはサブ要素です。

ドレッシングは何味?

生or焼きor…?

チーズはかかっている?

など、直接味わう野菜ではなく、どう味付けされているかを考えます

とりわけ今回はよく見るハーブを使用する生のサラダ・チーズ無しの例で紹介いたします。

コース料理は品数が多いほど最初は淡い味というのが通説ですが、ランチ3コースとなると、最初のコースからでもサラダの味は比較的はっきりしています。

ハーブ・しかもフレッシュ、チーズなど乳製品なし、ドレッシングは大体酸味があるもの、というと、スッキリ爽やかソーヴィニョン・ブラン

特にニュージーランド🇳🇿がいいですね♪

ソーヴィニョン・ブランの特徴としては、ハーブやフレッシュグリーンの香り、比較的高めの酸味となります。

かつニュージーランド産は果実味も強くグアヴァの香りもし、サラダにザクロなどの果実が入っていればますますペアリングが楽しめるでしょう。

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Sauvignon Blanc (ソーヴィニョン・ブラン)

レストラン販売価格:$9~12/Glass(推定)

では最初の前菜が魚の場合はどうでしょう?

魚も生、焼き、蒸し、煮、などありますが、最初のコースなら大体軽めの味付けでしょう。

よくあるのは魚のカルパッチョやタルタルなど、生魚の料理

ですが正直申しまして、生魚とワインは簡単ではありません

でも食べたいものは食べたいんです!

なので理屈は説明しませんが、レモンやオリーブオイルを使用して食べて下さい

そうすれば生臭さは軽減されます。

つまりワインもレモンやライムなど、酸味を特徴とするものを選びましょう

加えて料理はフレッシュハーブが使われているものが多いと思うので、この辺のサブ要素も取り入れましょう。

となると、ここはやはり白ワイン、しかも酸味が特徴的なモノ

涼しい気候のワインは高めの酸味が特徴となり、同じハーブを感じさせるワインでも、若いほうがフレッシュさが感じられます。

なのでフランスイタリアなど、オーストリアドイツなどがお勧めです。

例えば北イタリア🇮🇹のピノ・グリージョなどいいですね。

酸味、フレッシュハーブの条件を満たしているので、これらを活かした料理にぴったりです。

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Pinot Grigio (ピノ・グリージョ)

レストラン販売価格:$9~12/Glass(推定)

前菜が肉の場合ですが、これが一番難しいかもしれません。

鶏、豚、牛、鴨、etc.など幅広くあり、さらには部位や調理法でも大きく変わってきます。

そこで、今回は初級という事で、肉にとらわれずサブ要素を探してワインを選んでみましょう。

よく見つけやすいのは胡椒で、ビーフカルパッチョやパテなど、比較的多くの料理に使用されているかと思います。

胡椒を強く感じられるブドウ品種の代表にはシラーがあり、また胡椒などスパイスの香りは樽由来が多い為、樽を使用したシラー/シラーズがお勧めです。

となると、やはりオーストラリア🇦🇺のシラーズがお手頃でピッタリです。

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Shiraz (シラーズ)

レストラン販売価格:$12~18/Glass(推定)

さて、前菜編ではソーヴィニョン・ブラン、ピノ・グリージョ、シラーズが登場しましたが、ここからはメイン編です。

あまりアルコールに強くないという方は、前菜とメインを同じワインで通すと思いますので、ワインに合わせたメインの選び方をサクッとご紹介いたします。

ニュージーランドのソーヴィニョン・ブランの方は、お魚料理の柑橘類を使用した料理がお勧めです。

シンプルにグリルした白身魚にすだち、なんていう和食でも対応できます。

ピノ・グリージョの方も、やはり魚料理が合わせやすいです。

特にイタリアのこのブドウの特徴に苦味やミネラルもあるので、美味しい塩味を活かした料理がお勧めです。

塩釜焼きなんて最高ですね♪

他にもアクアパッツァといった酸味あり、汁気ありの魚料理もお勧めです。

シラーズの方は、やはりお肉がお勧めです。

同じ要素という意味では、ステーキで赤ワインソースと言うのが定番です。

あとは、“味の強さを合わせる”という初級~中級レベルになりますが、オーストラリア産シラーズの特徴でもある、凝縮された果実の味を合わせるには、赤ワイン煮込みがとってもお勧めです。

和食や中華でも肉の煮込みがあれば、甘さも感じられる料理になっていると思うので、シラーズと是非合わせてみて下さい。

では2杯以上飲みたい方向けの、メインに合わせるワインの選び方のご紹介です。

コースのメインで野菜料理と言うのはあまり見かけないと思いますが、野菜をソースにしたものは多いですよね。

例えばトマトソースのパスタなど。

メインだけではなく、前菜でトマトソースを使っていれば、ここはイタリア🇮🇹のキャンティをお勧めします。

パスタにイタリアワインは当然じゃない?と思われますが、不思議なことにキャンティってトマトの香りがするものが多いんですよ。

テイスティングコメントでも、トマトの葉っぱの香りと表現する人もいるくらいです。

因みに私が従事していたシェフは、パスタは麺が第一ソースが第二具は第三と言っていました。

ですのでパスタを選ぶ時は、具よりもソースの味に着目してワインを選びましょう

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Sangiovese (サンジョヴェーゼ)

レストラン販売価格:$10~16/Glass(推定)

次は魚料理

ですが、比較的多く見るのは焼きかなぁと思います

焼きと一言で言っても、塩焼き・蒸し焼き・炭火焼き・バター焼き・香草焼きなど様々です。

今回は、フライパンまたはオーブンを使用しバターの香りをつけて焼いた白身魚、そしてレモンを活かしたソース、もしくはレモン添えで考えてみましょう。

お店によってはハーブを使用することろもありますが、わかりやすいサブ要素としてバターとレモンがあります。

バターやクリームといった乳製品は、乳酸発酵を行ったワインだったり、樽からくるトースト香のついたものが合わせやすいです。

そこにレモンという事は、柑橘の香りのしやすい白ワインが適しています。

オーストラリア🇦🇺の、樽をしっかりと感じることのできる、レモンの酸味も感じられるシャルドネです。

オーストラリア産ならグラスワインでもお手頃に楽しめますよね。

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Chardonnay (シャルドネ)

レストラン販売価格:$10~16/Glass(推定)

メインのお肉料理ですが、前菜同様幅が広いのが難点です。

鶏の煮込み・豚のロースト・牛のステーキ、ラムのグリル、鴨のコンフィ、などなど。

なので、これも前菜同様共通項を探し、ワインを選んでみましょう。

 

メイン料理となると、十中八九調理されています。

となると、焼いた香ばしさ?煮込んで凝縮された旨味?濃厚なソース?スパイスで味付け?など浮かび上がりますが、これらを網羅できる万能型ワインとして、フランスワイン、コート・デュ・ローヌをお勧め致します。

 

ボルドーの赤ワインという手もあるのですが、生産者や地域によって特徴が大幅にブレてしまうので、万能とまでは言い難いです。

他にもカリフォルニア🇺🇸のピノ・ノワールも推薦したいのですが、バイ・ザ・グラスをやっているお店はあまりなさそうです。

もしお店にコート・デュ・ローヌがなければ、上記2つを探してみて下さい。

 

ブドウ品種はシラーとグルナッシュが主体としてブレンドされていることが多いです。

シラーは、前菜でも出てきたシラーズと同じブドウ品種です。

芳醇な果実味、適度な酸味、適度なタンニン、ブドウや樽由来のスパイスの香り、ミディアムボディ~フルボディ、という、どのようなメインでも包み込む余裕のある凄いやつなんです。

 

タイプ:非発泡
色:
ブドウ品種:Syrah / Grenache (シラー / グルナシュ)

レストラン販売価格:$10~16/Glass(推定)

ですが、A5ランクのお肉だったり和牛といった脂身たっぷりのお肉には、タンニンが豊富なボルドーの方がお勧めです。

もちろんトマト煮込みならキャンティもお勧めですし、クリーム煮なら赤ワインより白ワインのシャルドネがお勧めです。

だんだんコツがつかめてきましたか?

 

この様に、魚だから白!お肉だから赤!ではなく、そこにどんな要素が隠されているかを考えると、ワインを選びやすくなります。

料理が好きな人ほどわかりやすいかもしれませんね。

これとこれを使うから、こんなワインがいいかも、なんてアイデアが浮かぶかもしれません。

 

さてさて、3コースと言うからには、デザートもしっかり楽しみたいですね。

もちろん甘いものとコーヒー・紅茶でいいと思います。

ですが余裕があるのなら、デザートワインも楽しみたいですね。

ここは要素と言うよりも、色を見てみましょう

 

透明に近い微発泡のモスカートはゼリーやムースなど軽めのデザート琥珀色の甘口ワインはコンポートやショートケーキなど、赤の甘口やポートなど酒精強化ワインは、フォンダンショコラなどしっかりしたチョコ系に、という具合です。

 

これらワインはピンキリなので、写真は本当にご参考までに。

スペイン🇪🇦の甘口酒精強化ワインです。

 

タイプ:甘口
色:白
ブドウ品種:Moscatel (モスカテル)

レストラン販売価格:$15~25/Glass(推定)

デザートワインを楽しんだ後は、エスプレッソでもくいっと飲んで、酔いを醒ましてくださいね。

今回は同じ要素を合わせるという比較的わかりやすい方法を紹介しましたが、これはこれで慣れるまで難しいです。

いきなり完璧なペアリングを目指す必要はないので、色々試しながら、ついでに自分の好きなワインが見つかればいいなぁという気持ちで遊んでみて下さい!

次回の講座のお知らせ

シンガポールを代表するトップソムリエから楽しく学ぶ
大人のたしなみ講座 『ワインの会』
第8回テーマ 
~ニュージーランド 白ワイン特集〜

今回学べる内容はこちら⇩⇩⇩
1. NZといえばソーヴィニョン・ブラン
2. ソーヴィニョンだけじゃない、注目すべき白ブドウ
3. 涼しい産地は白が美味しい!白ワイン6種飲み比べ
4. 日本人が手掛けるNZワインの数々
5. 北島と南島それぞれの特徴
6. NZワインの歴史

9月
22日(水)  19:30~21:30【残り4席】
23日(木)   19:30~21:30【満席】
29日(水)   19:00~21:00【満席】
※日程により開始時間が異なりますので、お気を付けください。

参加費:1人$80 / 2人以上で申し込むと1人$75
最小催行人数8名

過去回に参加できなかった方向けクラス

 過去回リバイバルクラス 

”~ブルゴーニュの香り~”
9月17日(金)19:00~21:00 【残り4席】
参加費:1人$80 / 2人以上で申し込むと1人$75
最小催行人数8名

✨今回学べる内容はこちら⇩⇩⇩
1. 左岸と右岸の違いと見分け方
1. ブルゴーニュにもあるスパークリングワイン
2. ブルゴーニュワインの格付けとは
3. ブドウの違い
4. 樽の香り
5. ボジョレーの奥深さ
6. ワインタイプ別の料理ペアリングのコツ


場所:b. studio (チャイナタウン駅から徒歩3分)
Blk 34 Upper Cross St, #04-150, Singapore 050034

お問い合わせ&お申し込みは
📨メール teppei@byst.sg
WhatsApp +65-8138-4613

過去記事はこちらから
Vol.1 ~ワインとお正月ペアリングのコツ~
Vol.2 ~北海道地図から見るワイン~
Vol.3 〜ワインに咲く色とりどりの花〜
Vol.4 〜お茶とワインを記憶づける〜 テイスティングテクニック〜
Vol.5 ~BBQにオススメ!外で飲みたくなるワイン達〜
Vol.6 ~試すなら今しかない!知らない土地を攻めてみよう!~

SUN with MOON Japanese Dining & Cafe

Address: 501 Orchard Rd, #03 – 15, Singapore 238880
Tel: 6733 6636
https://www.sunwithmoon.com.sg/

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