皆様、いかがお過ごしでしょうか?
前回から4か月も間が開いてしまいました。お待たせして本当にすみません!
突然の店内飲食禁止から再オープン、また再度店内飲食禁止に、突如再オープンと、かなりバタバタしてしまい、延び延びになってしまいました。
我々飲食店も大変ですが、もっと大変な他の業種の方もいらっしゃいますし、外食ができない消費者の皆様も、きつかったという方も多いのではないでしょうか。
私自身もそうでした。自分のお店も大変でしたが(笑)、やはりパブやレストランでビールを飲めないというのは辛かったです。外食が解禁された今、嬉々として飲みまわっています。
なんとこの外食禁止期間にも、何軒ものクラフトビール店がオープンしているのですが、それは次回以降ご紹介するとして、今回は、シティー圏内にあるのに今まで紹介していなかったビール店を紹介していきたいと思います。
それでは今回もお楽しみ下さい!
<広瀬礼仁>
シンガポールのクラフトビール専門店「SG TAPS」店長兼ウエイター。
当地シンガポールにて、クラフトビール業界に5年程関わったのち、2018年4月に独立。ビールを始め、日本酒、ワイン、ウイスキーなど、アルコール文化に対する愛は誰よりも広く深いと自負している。
[Vatos Urban Tacos]
36 Beach Rd, #01-03 South Beach Quarter, Singapore 189766
以前に紹介した、タンジョンパガーの「Sid Burger」の本店に当たるお店です。
こちらはビーチロード沿いのサウスビーチという大きな商業施設に入っています。サウスビーチには他にも2軒クラフトビール店がありますので、のちほど一緒に紹介していきましょう。
まずはこのVatosですが、おそらく資本が一部韓国系と思われ、メキシカンフードに韓国フレーバー(主にキムチですが)を加味したアーバンメキシカンという、非常に珍しいコンセプトのレストラン・パブです。
いつも賑やかな店内を埋め尽くしているのは圧倒的にローカルの若者です。
鉄製の素材を上手に使ったインテリアはとてもクールで、照明などもかっこよく、若者のデートコースとして人気があるのも納得です。
モダンなアレンジのメキシカンはとてもしっかり作られていて、ビールを飲まなくても食事だけでも十分に楽しめます。
これも若者たちから支持される要因でしょう。
ちなみにビールを頼むと無料のトルティーヤがサーブされます。ナチョスとかぶってしまう感じですので、おつまみを頼むのはこのトルティーヤを見てからの方がいいでしょう。
ドラフトビールはアメリカのものと韓国のものを揃えています。
韓国のクラフトビールはあまり知られていないかもしれませんが、クラフトビール人気は韓国でも白熱していて、たくさんのブリュワリーがあり、アジアのクラフトビールコンペティションでは韓国のビールが常に上位に入っています。
韓国クラフトビールがドラフトで飲めるお店はシンガポールでも限られていますので、ぜひお試しいただきたいです。
他にもテキーラとマッコリのカクテルや、大きなフローズンマルガリータにコロナビールをぶっさした派手なカクテルも用意していて、若者の心を本当に上手に掴んでいるなと思います。
いつも混んでいて満席の場合も多いですが、韓国のクラフトビールは試す価値がありますよ。
注)トイレが隣のお店と共用でしかも男女合わせて個室が二つのみと非常に数が少ないため、混みあっているときの列は絶望的です。少し遠くにも別のトイレがありますので、そちらを確認しておいた方がいいでしょう。
- 価格:割とリーズナブル
- タップ数:12
- ビールのクオリティー:良い
- 雰囲気:いかにもアーバンという感じでおしゃれ
- トイレ:数が少なく絶望的に込み合う
- アクセス:プロムナード駅すぐ上
- 一口ポイント:珍しい韓国のクラフトビールが飲める
[Armoury Craft Beer and Steak]
36 #01- 01 Beach Rd, Singapore 189766
Vatosのすぐ隣にある、アダルトな雰囲気のとてもおしゃれなクラフトビール店です。
以前はちょっとしたビストロという感じでしたが、少し前より和牛のステーキとハンバーガーをメインにした、肉っぽいグリルダイニングにシフトしました。
高級感のあるインテリアと暗めで落ち着いた照明、ガーデン席も多く用意されていますので、こちらは欧米系のビジネスエグゼクティブ層に人気のようです。
ステーキ専門店を名乗るだけあって、ステーキはさすがの美味しさです。
ボリュームたっぷりの和牛がかなりリーズナブルに味わえます。メニューにはステーキの食べ放題なるものも記載されており、平日33ドルでオーストラリアビーフのステーキやチキンウイングやフレンチフライが食べ放題という、肉ラバーにはたまらないプランです。
こちらの食べ放題を注文するとラガービールが8ドルになるようですので、ビール好きにも願ったりかなったり。ぜひ一度試してみたいですね。
ステーキ以外にも、ピザ、パスタ、おつまみ類を一通り揃えていますので、ステーキを食べなくても十分楽しめると思います。
ドラフトビールは25種類もあり、アメリカのクラフトビールを中心に、ドイツ、ベルギー、オーストラリアなど幅広いバラエティーです。
価格はネットプライスのようですので、結構リーズナブルです。
このサウスビーチという建物一帯がとてもおしゃれで、シンガポールのオフィスビル群の夜景に囲まれながら、都会的な雰囲気のど真ん中でビールを楽しめます。
意外と知られていない穴場でもありますので、お近くに行かれた時にはぜひ寄ってみてください。
ちなみにこのお店の奥には水槽がたくさんあり、エイや色々な魚が泳いでいて癒されます。お魚好きな方はより一層このお店のビールを楽しめることでしょう。
注)前述のとおり、サウスビーチのトイレの混みかたは絶望的です。少し遠くにある別のトイレを必ず確認しておきましょう。
- 価格:意外とリーズナブル
- タップ数:25
- ビールのクオリティー:良い
- 雰囲気:高級感のある雰囲気
- トイレ:数が少なく絶望的に込み合う
- アクセス:プロムナード駅すぐ上
- 一口ポイント:肉好きにはポイント高い
[Alchemist Beer Lab]店名変更 → Little Island Brewing Co @ South Beach
South Beach Avenue, 26 Beach Rd, #B1-16, 189768
こちらのお店はチャンギビレッジにある「リトルアイランド」というブリュワリー&レストランの姉妹店になります。リトルアイランドはチャンギの中でもかなり離れた場所にあり、彼らのビールは基本そこでしか飲めませんので、シティーエリアのお洒落空間で味わえるのは嬉しい限りです。
リトルアイランドでは、ピルスナー、ヴァイツェン、ペールエール、IPA、イングリッシュエール、スタウトなど、ほぼ全てのジャンルを網羅したフルレンジのラインアップでビールが造られていますので、皆さんのお好みの一杯がきっと見つけられることと思います。
どのビールも経験に裏打ちされた安定の味です。チャンギビレッジの海沿いのブリュワリーでは大きなタンクで醸造されているところが見られますので、そんな光景を思い浮かべながら飲むと、都心に居ながらにして海風に吹かれているような気分になります。
また、専任のバーテンダーが常駐しているお店でもありますので、本格的なカクテルが楽しめるのもこのお店の魅力の一つです。
お食事はタパス&ビストロ&パブといった感じの、モダンフュージョンなバーフードで、どれも丁寧に作られた一工夫ありのメニューですので、お食事も十分に楽しめます。メニューは時々変わるようですので、新作を見つけるのも楽しみのひとつです。
近未来的なインテリアやバーカウンターに美しくしつらえた銅色のタップが、とても上質な空間を演出していて、外席も開放的でとても魅力があり、週末はいつも満席の様子が伺えます。
デートや女子会にもお勧めできるクラフトビール屋さんです。
- 価格:普通
- タップ数:14
- ビールのクオリティー:よい
- 雰囲気:洗練されたお洒落空間
- トイレ:きれい
- アクセス:プロムナード駅すぐ上
- 一口ポイント:リトルアイランドのビールが飲める
[TAP Craft Beer Bar @ 9 Penang]
9 Penang Rd, 01-08/09, Singapore 238459
シンガポールの都市部に5店舗を構える有名店で、シティーホールやロバートソンキーにもあります。
こちらはペナンロード沿いの商業ビル内にあり、一番新しい店舗になります。
このTAP全店舗の最大の売りは何と言っても1パイント10ドル(税サ別)均一というビールのリーズナブルさです。それでいてどの店舗も20タップという広いバラエティーを有しており、アメリカのビールを中心にオーストラリアやドイツやシンガポールなどのビールも楽しめ、ラインアップは常に入れ替わるので何度行っても飽きることがありません。そのため、主に仕事帰りのビジネスマンたちでいつも混雑しています。
どの店舗も十分な席数を用意してあるので、一人で行っても気後れすることなくゆっくりできますし、逆にサッと一杯飲んで帰りたい時にも重宝します。
なにしろパイント10ドルというのは本当にインパクトがあります。お会計を見て、えっ?と思ってしまう事があるほどです。
以前はフードが弱いと言われていたこのグループですが、今は全くその逆で、おつまみ・タパス類、ラムやステーキやバーガーなどの肉類、盛り合わせ、パスタ、ローカルカレー、タイ料理、インド料理、メキシカンなどなど、十分すぎるメニューに強化されていて、味も非常にしっかりしています。
特にタイ料理が人気のようで、店員さんに聞くと必ずタイ料理を勧められます。また、自社輸入と思われるチーズ類も充実しています。こちらのグループでは全店ワインのバラエティーも豊富ですので、それに合わせて楽しめるようにとのことだと思います。
インテリアは必要十分という感じで、特にお洒落に作りこんでいるというわけではありませんが、そこがまたこのお店の「とにかくビール飲んでけ」感を感じられ潔ぎよいです。
マニア受けのビールを揃えているわけではありませんが、クラフトビールのライトユーザーにはうってつけのお店と言えます。
シンガポールのクラフトビールはどこからいっていいかわからないという方は、ビジネス街に5軒もあるこちらのお店を、まずは訪ねてみてはいかがでしょうか?
- 価格:ビールは激安
- タップ数:20
- ビールのクオリティー:良い
- 雰囲気:これぞクラフトビールバーという感じ
- トイレ:きれい
- アクセス:ドビーゴート駅近く
- 一口ポイント:パイント$10は超お得
[Almost Famous Craft Beer Bar]
30 Victoria St, #01-06, Singapore 187996
このお店がオープンした時には、“クラフトビール界のアップルショップ”と色々なウェブ記事に取り上げられたほどの、シンプルにそぎ落としたミニマルな内装がお洒落な、まさにシティー派にふさわしい一店です。
そもそもが「チャイムス」という、かつての教会をレストラン街に作りなおした、中世的なお洒落エリアにある店なので、その場にあること自体ですでに異空間的な隔世感があります。
余計なデザインを排除しシンプルに徹したインテリアデザインは、本当にアップルショップ的で、デジタル世代のクラフトビール店を予感させます。
実際に店内は、20代のシンガポール人の若者たちで混みあっていて、クラフトビール文化を若者たちに伝播するのに非常に貢献しているお店だと思います。
フードの種類は多くはありませんが、餃子や揚げ豆腐やカイランなどのアジアの食材を使用し、気の利いたアレンジのバーフードを用意していますので、つまみながら飲むのにちょうど良いです。シンプルながらシェフのアイデアが光るメニューです。
ドラフトビールは16タップで、シンガポールと香港のビールを中心に、アメリカやオーストラリアのものなどを揃えています。一般受けするものからややマニア向けの物まで、幅広い嗜好性のラインアップになっています。
ボトル・缶のビールも20種類以上あり、こちらはかなり通好みな品ぞろえになっていますので、より個性的なビールがお好みでしたら、こちらから選んでもよいでしょう。最近のクラフトビールのラベルはお洒落で華やかなものが多く、見ているだけでも楽しめます。
ミニマリストのための次世代的なクラフトビールバー、一見の価値ありです。
- 価格:普通
- タップ数:16
- ビールのクオリティー:良い
- 雰囲気:シンプルおしゃれ
- トイレ:チャイムスのトイレは遠い上に数が少ない
- アクセス:シティーホール駅からすぐ
- 一口ポイント:クラフトビール界のアップルショップ
[Wildfire Burgers]
80 Bencoolen Street, #01-15, 1 NAFA Campus, 189655
以前オーチャードにあったワイルドファイヤーバーガーが移転して、NAFAという美術学校の下の路面店となりました。
立地柄、客層としては学生たちが多く、ビール店というよりはバーガーショップとしての人気が高いようです。
ドラフトビールはないのですが、店の奥には大きな冷蔵庫があり、クラフトビールのボトルが40種類以上も並んでいます。シンガポールの物が中心ですが、オーストラリア、日本、ベルギーなどの物も見受けられ、クラフトビール店としても十分と言えるバラエティーです。価格も学生さん向けに少しリーズナブルになっています。
最近の若者の好みを反映して、韓国焼酎も数種類そろえています。日本酒もあるようです。
バーガー専門店ですので、ハンバーガーはしっかりした味付けでおいしくバリエーションもたくさんあります。学生さんが主なお客さんなので価格も抑えられています。パッとお店に入ってバーガーだけ買えるような雰囲気です。
バーガー以外に、バスクチーズケーキがあります。今のクラフトビールはデザートと合う物もたくさんあります。ベルギーの修道院ビールと一緒に食べたらなかなか良い組み合わせでした。
気軽に入れるクラフトビール店ですので、バーガーを食べながらちょっと一杯いかがでしょう。
- 価格:リーズナブル
- タップ数:無し
- ビールのクオリティー:良い
- 雰囲気:気軽に入りやすい
- トイレ:モールの中なので少し遠い
- アクセス:ベンクーレン駅から徒歩10分
- 一口ポイント:リーズナブルなバーガー専門店
[The Good Beer Company China Square]
3 Pickering Street, Nankin St, #01-30 China Square Central, 048660
サマセットの「地ビール」という日本のクラフトビールが飲める店の系列店です。
こちらの「ザ・グッドビアカンパニー」は現在3店舗あり、チャイナスクエアの店舗は半年ほど前にオープンした一番新しいお店です。
このエリアは、チャイナスクエアからファーイーストスクエアを中心に飲食店が数多く並んでおり、レストランやバー、パブから、カフェやちょっとしたテイクアウトのお店まで、様々な業態のお店が集まっています。
すぐ横がシンガポール最大のオフィス街ですので、お昼も夜もオフィスワーカーたちで賑わっています。長く経営されている有名店も多いので、そういったところには多くの常連さんが付いていたりもします。
周囲は色々と志向を凝らしたお店も多いですが、この「ザ・グッドビアカンパニー」はシンプルに徹して、ほぼクラフトビールとピザのみ、というとても分かりやすい方向性で、気軽に一杯からじっくり飲みまで、欧米系の方を中心に色々なお客さんに支持されています。
お店自体もさっぱりシンプル。ほとんどのテーブルは開放感のあるテラス席で、入り口がオープンになった店内にはどーんとビールのカウンターがあり、その横には缶・瓶ビールの冷蔵庫。
気軽に一杯寄っていきたくなる店構えです。
20種類のドラフトビールはほとんどが自社で輸入したもので、イギリス、スコットランドのものを中心に、地ビールの系列なので茨城県の常陸野ネストビールもドラフトで楽しめます。
自社輸入なので価格もリーズナブルに抑えられています。
また、ボトルビールの冷蔵庫には「志賀高原ビール」の姿が。日本でも入手が難しいビールで、どのビールも確固としたコンセプトで作られている、クラフトビールのお手本のようなブリュワリーです。もし見かけたら試す価値あり。シンガポールではレアものです。
以前こちらの会社でイタリアンも経営していたので、ピザはもちろん本格的。その場でドウを伸ばしてから焼き上げ、バラエティー豊富でフレッシュなピザをリーズナブルに楽しめます。
日によっては$10ピザなどのプロモーションをしていますので(多分毎週火曜日)、こちらも要チェック。
近くを歩いているだけでもフラーっと入ってしまいそうな、気軽な雰囲気です。お仕事帰りでもお散歩の休憩でもぜひ寄ってみてください。
- 価格:リーズナブル
- タップ数:20
- ビールのクオリティー:とても良い
- 雰囲気:気軽に立ち寄れそう
- トイレ:モールの中なので少し遠い
- アクセス:チャイナタウン、テロックアヤ駅より徒歩5分
- 一口ポイント:常陸野ネストのドラフトが飲める
前回に続き、更新が遅くなってしまってすみません!
しかしクラフトビールは本当に強い。
この期間中もたくさんのクラフトビール店やブリュワリーやインポーターがオープンしています。
この半年間でシンガポールのクラフトビールの環境はもう一回転しました。
クラフトビール店の地域密着化が進み、ウィズコロナのマーケットに合わせ、持ち帰りを想定したボトルショップ型が増えました。郊外のHDBの下などに続々とそういったボトルショップができ、そのようなニーズから、マニアックなビールをインポートする小規模なサプライヤーも増え、結果、市場に出回るクラフトビールの種類は爆発的に増えました。
私も日々、加速度的に拡大し続けるクラフトビールマーケットを追うことに必死です。毎日浴びるほどビールを飲んでも追いつかない。非常に辛い仕事です(笑)。
ということで、また次回お会いしましょう!
シンガポールのおすすめクラフトビール
過去のクラフトビールコラムはこちら⇩
https://byst.sg/category/blog/food-drink/craft-beer/
SG TAPS
島内唯一シンガポールのクラフトビールが18種類、生で飲めるシンガポールビール専門店。 ボトルビールでは更に、日本、香港、ベトナム、台湾、インドなどのクラフトビールを揃え、アジアのクラフトビール文化を底上げしていきたいと考えている。 ラクサピザ、奄美鶏飯風チキンライスなど、ローカル、和洋食を絶妙に組み合わせたユニークなフードも人気。
https://www.facebook.com/SGTAPS13/