最近あちらこちらで、自分がソムリエを目指した経緯をお話する機会を頂きます。
まずお話するのは、
- 昔はワインが嫌いだったこと
- カリフォルニアの学校でViognier(ヴィオニエ)というブドウから造られた地元ワインを飲んで、ワイン観が180°変わったこと
- そして東京のイタリアンで料理をする側からサービス側に転身したこと
の3点でしょうか。
そしてこれはあまり話していないのですが、これもある意味人生を左右する選択だったんだと思っています。
ソムリエを目指す方のほとんどは、まずフランスワインを志すものだと私は勝手に思っています。
しかし私は敢えてイタリアワインの世界からスタートしたのですが、運のいい事に先輩たちはイタリアで料理を学んだり、イタリア認定のソムリエ資格を持っていたりとすごい人たちに囲まれ、さらにはイタリアワイン界のドンたちとの繋がりのあるオーナーという、イタリアワインを学ぶための環境が整い過ぎていました。
何故これが重大な選択だったかというと、これは後から知ったことですが、実はソムリエって、イタリアワインが苦手な人が多く、試験の時にはイタリアワインを捨てるという方々も多いという噂です…
それもそのはず、毎年のように認定されている原産地が増えていき、地ブドウは数千種、産地によってブドウ品種が異なるけどラベルには書いていない、など知らない人にとっては難解な言語となっています。
そんなわけで結果論になりますが、私はイタリアワインから始められたので、お陰で今では強い武器になっています。
(私の場合はドイツワインが不得意です…やはり言葉が…)
そして2月の講座のテーマは、私にとって愛着のあるイタリアワインについて、特に北イタリアを中心に構成してみました。
もちろん料理や食材などもご紹介!
あの料理ってこの街の名物だったの❓❕という発見もあるかも。
次回3月のテーマは、私にとってのワインの故郷、カリフォルニアにしてみようと思っています。
Santa Barbaraのワインが手に入るか、やっぱNapaは外せないし、などなどワクワクしています!
今月も本題の前に重要なお知らせです。
私が担当するお店SUN with MOON Japanese Dining & Caféは、2月末まで北海道プロモーション開催中です!
そして3月1日~3月31日まで改装工事の為お休みをいただきますが、4月1日からさらに面白いコンセプトを追加していきます。
強炭酸ハイボールを筆頭に、ワイン以外も力を入れていきます!
是非いらして下さい!
渋谷 大輔(しぶや だいすけ)
2020年 アジア – フランスワイン ベストソムリエコンクール 準優勝
SUN with MOON Japanese Dining & Cafe所属
<資格>
Certified Sommelier by Court of Master Sommelier
WSET Advanced Certified in Wine & Spirits
インターナショナルワインチャレンジ酒部門 准審査員
WSET Advanced Certified in Sake
<受賞歴>
2019年 シンガポール – フランスワイン ベストソムリエコンクール優勝/アジア大会シンガポール代表
2019年 シンガポール – アメリカワイン ベストソムリエコンクール優勝
そして今月も価格や難易度、手に入れやすさなどを私の主観で☆を付けています。少しでも参考になればと思います。生産者や購入場所などにより価格は大きく振れますが、およそこんなイメージです。
それからワインの写真はイメージになりますが、全てシンガポールで手に入るものになっています。
☆ ~$30
☆☆ $30~$50
☆☆☆ $50~$100
☆☆☆☆ $100~$200
☆☆☆☆☆ $200~
イタリアでは毎年3月8日Festa della Donna(国際女性デー)の日になると、男性から女性へあるお花を贈る習慣があります。
それはミモザという黄色いお花で、
花言葉は「感謝」や「思いやり」です。
この日は国連が定めた記念日で、国によって贈るお花は異なりますが、イタリアではミモザをプレゼントしています。
その理由はとても素敵で、ミモザはイタリアに自生するお花の為、貧富の差関係なく、誰でも贈れるお花だからという理由から、イタリアではミモザを贈ると決まったそうです。
これなら小さなお子さんでも大好きなお母さんに、たくさんのお花をプレゼントできますね。
先日BYSTさんの別の講座、「パリスタイルのお花教室」でお花のブーケ講座が開かれておりましたが、その時にもミモザが使用されており、ワイン講座前に教室に充満していたスイカや蜜のような冷涼な甘い香りがとても心地よかったです。(上の写真は講座のものではありません)
ミモザと言えばシャンパーニュを使ったカクテルにもありますが、私はイタリア風のプロセッコとオレンジジュースのミモザが好きです。
ちょっと聞きかじったところ、実はお花のミモザとは、Acacia (アカシア)のお花を指しているとのこと。
では、このアカシアという黄色いお花はどのようなワインから感じとれるのか?というのが今月のブログのテーマです。
ワイン講座では毎回皆さんと一緒に香りをかいで、これは何の花の香りなどイメージをお伝えしていますが、フルーツと違って食べたことがない (はず)ので、なかなか伝わりにくいです。
今月はそれらお花の香りと典型的なワインをご紹介したいと思います。
ワインとお花を一緒に用意して、テイスティングをしてみて下さい。
一般的に白や黄色いお花は白ワインから感じ取れることが多いのですが、アカシアだとProsecco (プロセッコ)などが感じられやすいかと思います。
Prosecco (プロセッコ)
タイプ:発泡
産地:イタリア
色:白
価格:☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆☆☆
では赤いお花たちはどうでしょう。
例えば、Red Rose (赤いバラ)の様にとても上品な香りは若いPinot Noir (ピノ・ノワール)から感じられることが多いです。
若めのブルゴーニュのピノ・ノワールなんていいですね。
とってもチャーミングな赤いサクランボやラズベリーの香りと混じって、すごく胸がくすぐられますよね。
Bourgogne Pinot Noir (ブルゴーニュ・ピノ・ノワール)
タイプ:非発泡
産地:フランス/ブルゴーニュ
色:赤
価格:☆☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆☆☆
もう少し色のついた、紫のお花スミレ (英語ではViolet/ヴァイオレット)になると、お花の色と同様にワインも色の濃い目のワインになります。
例えばMerlot (メルロー)がいいでしょう。
シンガポールで手に入りやすいものだとチリ産のメルローや、王道のボルドーのメルローが多くブレンドされている赤ワインだと、見つけやすいかと思います。
Merlot (メルロー)
タイプ:非発泡
産地:チリ
色:赤
価格:☆☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆☆☆
さて、色のついたお花はイメージしやすいですが、白いお花だとどうでしょう。
お茶としても使用されるJasmin (ジャスミン)ですが、比較的エキゾチックな香りというイメージでしょうか。
見つけやすいものですと、スペインのアロマティック品種Albariño (アルバリーニョ)だと、白桃の香りに混じって見つかるかと思います。
もしくはイタリアのPinot Grigio (ピノ・グリージョ)というブドウでも見つけやすいです。
しかもこのPinot Grigio、デリケートなものだと他にもLily (ユリ)の香りがしたり、とても手に入れやすい価格ながら、スッキリ飲みやすく後味はほろ苦さも残り、コスパのイタリア!という、とてもいいワインを造っています。
Pinot Grigio (ピノ・グリージョ)
タイプ:非発泡
産地:イタリア
色:白
価格:☆☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆☆☆☆
同じ白いお花のお茶で言えばCamomile (カモミール)です。
何となくドライな印象のある香りですが、私が乾燥したハーブティーばかり飲んでいるからでしょうか。
フレッシュなカモミールのお花とは大分香りが異なるのかもしれませんが、この場合はハーブティーの香りで間違いありません。
どことなく甘さがあるものの、ジャスミンなどと比べると淡いというか儚い香りだと思います。
こういった香りは南アフリカのChenin Blanc (シュナン・ブラン)から見つけられますが、中々難しい香りの一つだと思います。
それよりもChenin Blancからは、もっとはっきりしたHoneysuckle (スイカズラ)が感じられるのですが、蜂蜜にとても似た印象です。
蜂蜜程甘くはないですが、ほんのりした甘味があります。
Chenin Blanc (シュナン・ブラン)
タイプ:非発泡
産地:南アフリカ
色:白
価格:☆☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆☆☆☆
最後にニワトコという白いお花ですが、英語ではElder Flowerとも呼ばれ、イタリアでニワトコの実はSambuca (サンブーカ)というリキュールに使用されたりしています。
独特な香りと味のリキュールなのですが、花はまだわかりやすく、若干青臭いながらもほんのり甘い香りを出している感じでしょうか。
ワインではフランスのSancerre (サンセール)などから見つかったりするのですが、使用されるブドウSauvignon Blanc (ソーヴィニョン・ブラン)がそもそも青臭いので、なんとも難しい香りです。
Sancerre (サンセール)
タイプ:非発泡
産地:フランス/ロワール
色:白
価格:☆☆☆
手に入れやすさ:☆☆☆☆☆
香りの見つけやすさ:☆☆
この様にほぼフレッシュなお花の香りの話をしましたが、ワインというのは本当に不思議な趣向品でして、ワインが熟成するとお花の香りも熟成するんです。
例えば仮に2020年のブルゴーニュのピノ・ノワールから摘みたての赤いバラの香りがするとします。
ところが2010年の同じワインだと、枯れぎみの香りに変化していたり、2000年のワインだとドライフラワーになった赤いバラの香りがしたりします。
これらは極端な例ですが、実際にイチゴやサクランボなどのフルーツでも、同じように熟成と共に変化を感じることが出来ます。
これだからワインはやめられません。
最後に一つ
一般的に花束のことをブーケと呼びますが、ワインでブーケと言えば、醗酵途中や熟成によって生まれた香りをさし、つまりフレッシュなお花はそこにはもういないことになります。
ブーケの一例を挙げると、キノコ・タバコ・茶葉などがそれにあたります。
個人的には、たくさんのお花の香りの束をブーケと美しく表現することに賛成ですが、人によっては“???”となりかねませんので、ワインを楽しんでいる時はご注意くださいませ。
次回の講座のお知らせ
大人のたしなみ講座 『ワインの会』
~ワインの歴史を塗り替えたカリフォルニアワイン~
1. ニューワールドワインの味わい
2. Napaだけではない、魅力あふれるワイン産地
3. 移民が育んできたワイン文化
4. サスティナブルなワインとは?
5. フランスワインに勝利したカリフォルニアワイン達
6. Zinfandelの秘密と合言葉
3月15日(月)
昼の部 13:00~14:30(90分) 【残り2席】
夜の部 19:00~20:30(90分) 【満席】
3月18日(木)
夜の部 19:00~20:30(90分) 【残り2席】
3月26日(金)
夜の部 19:00~20:30(90分) 【満席】
⇩過去回に参加できなかった方向けクラス⇩
過去回リバイバルクラス
~ボルドーブレンドの美学~
3月9日(火)
夜の部 19:00~20:30 (90分) 【残り3席】
✨今回学べる内容はこちら⇩⇩⇩
1. 左岸と右岸の違いと見分け方
2. ボルドーワインの格付けとは
3. セカンドワインとは
4. ブラインドテイスティングの面白さ
5. 5大シャトー結成の歴史
6. 最高級デザートワインの貴腐ワインと格付け
参加費:1人$80 二人以上で申し込むと1人$70
場所:b. studio (チャイナタウン駅から徒歩3分)
Blk 34 Upper Cross St, #04-150, Singapore 050034
お問い合わせ&お申し込みは
📨メール teppei@byst.sg
WhatsApp +65-8138-4613
過去記事はこちらから
Vol.1 ~ワインとお正月ペアリングのコツ~
Vol.2 ~北海道地図から見るワイン~
SUN with MOON Japanese Dining & Cafe
Address: 501 Orchard Rd, #03 – 15, Singapore 238880
Tel: 6733 6636
https://www.sunwithmoon.com.sg/