【&Hによる暮らしのノート】ヘルパー/メイドのいるシンガポールライフ vol.28

旦那様インタビュー Vol.4 前半■
ITエンジニア  F氏

日々、ヘルパーさんと関わりが多くなりがちなのは奥様ですが、その奥様とヘルパーさんとの関係や家族の変化は旦那様の目にはどのように映っているのでしょうか?

そこで&Hはヘルパーさんとの暮らしに関して旦那様にお話をお伺いしてみました。

ヘルパーさんとの暮らしを客観的に一緒に見てみませんか? 

雇用を検討されている旦那様、雇用している旦那様も必見です!

これまで5年9ヶ月に渡り、フィリピン人のヘルパーさんを3人雇用してこられたITエンジニア  F氏にお話をお伺いしました。

Q. ヘルパーさんを雇う前についてお伺いします。ヘルパーさんを雇われることについて、どのような印象を持っていらっしゃいましたか?

A. 住み込みヘルパーさんという職種があることは知っていました。住み込みとなると、全くの赤の他人と自宅で寝食を共にするので抵抗がありました。お風呂上がりに全裸で歩き回れないし、一番リラックス出来るはずの自宅でダラダラ出来なくなります。

 とはいえ通いのヘルパーさんよりも割安になりますし、小さい子どもが3人いる我が家では朝から夜まで様々な仕事をしてもらえる住み込みヘルパーさんを雇用する必要があると思い、雇用を決めました。

 ヘルパーさんのいる生活は、未だマックスに寛げるわけではありませんが、時間が経った今はだいぶ慣れてきました。

Q. ヘルパーさん雇用についてお伺いします。これまで3名のヘルパーさんを雇われていらっしゃいますが、ご主人もヘルパーさんの面接をされたのでしょうか?

A. もともと住み込みのヘルパーを雇う以外にも、通いのヘルパーを雇うなど、様々な選択肢を検討していました。奥さんがリサーチした上で、エージェントに行って実際に面接をしてみようということになり、エージェントに訪問する前に色々な情報を入手していました。フィリピン人は英語が上手だから、子供や自分たちの英語スキルを伸ばすという点でもフィリピン人がいいのではないか、とか、前雇用主がシンガポール人の家庭だと厳しい環境下で働いている可能性が高い、とか。

その情報を元に実際に奥さんと一緒に面接に行きました。たくさんのヘルパーを面接しましたが、フィリピン人は総じて要求が高く、少し派手な印象がありました。二次面接で家に来てもらったフィリピン人もいましたが、どこか不安が残りました。

そんな時、今のヘルパーさんの面接をしました。インドネシア人で英語はあまり上手ではありませんが、真面目で謙虚でシャイな感じにすごく好感が持て、私たちの条件にぴったりでしたので、彼女に決めました。

Q. ご主人のお仕事では、どのような方法で採用を行い、どういった点を評価されていらっしゃるのでしょうか?

A. エンジニアなので、その場でプログラミングを書いてもらいます。またウイルスが発生したと仮定し、レポートを書いてもらうといった課題を出すこともあります。実技を通じて技術的なスキルレベルを把握するとともに、その人の仕事のスタンスも見えてきます。

 実技中に質問をしてくるタイプなのか、黙々と進めるタイプなのか。また質問の内容によっても思考を把握することができます。「レポートは誰向けで、A4何ページ程度で作れば良いのか」といった条件を確認するタイプなのか、あるいは本質とはかけ離れた質問をしてくるタイプなのか、といった具合です。

 性格や仕事のスタンスは良し悪しではなく特徴です。そういった特徴を把握することでチームワークに馴染むかどうかが判断できますし、マネージャーが取るべきマネジメントスタイルも見えてきます。

 ヘルパーさんの雇用においても実技試験が出来るともっと採用しやすくなると思っています。バイオデータに料理を何年やっていたと書いてあったり、面接で本人が「料理が出来る」と答えても実際のところはわかりません。

 例えばパンケーキを作ってもらう課題を出し、わざと粉を必要量よりも少なくしたり、賞味期限が過ぎた牛乳を冷蔵庫に入れておいたりし、それを雇用主に指摘しつつ最後まで作れるかどうかといった試験ができれば料理のスキルもわかるし、ヘルパーさんの仕事のスタンスも見えてきます。また子どものお世話だとしたら、子どもが泣いている時にどういった対応をするのか、といったようにカテゴリー毎に点数化が出来たら、雇用主としては判断がしやすいです。本当は3日間ぐらい一緒に生活できたら、ヘルパーさんの仕事のスキルやタスクのプライオリティの付け方を把握できるので良いんですけどね。

Q. ヘルパーさんを採用する際、ご主人が重視していらっしゃる点はありますか?

A. まわりの日本人の方に「我が家ではヘルパーを雇っている」という話をすると、「じゃあ、奧さんは働いているの?」と言われることが多いです。”ヘルパーさんを雇う=奥さんが働くための手段”として考えている方が多く、これは日本人男性の典型的な見方とも言えると思います。また、ヘルパーさんを雇うことによって「奥さんが楽をしている。贅沢をしていて専業主婦としての義務を果たしていない」と思っていらっしゃる旦那様も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。

シンガポールでは、女性が男性以上にキャリアを築きあげ、ビジネスで成功している人がたくさんいます。それが出来ているのは、もちろん祖父や祖母と同居していることもありますが、やはりヘルパーなしでは実現できていないと思います。でも、それは奧さんが仕事をするためだけに雇っているわけではなく、生活で必要なことを適材適所で分担していることで、うまくマネジメントしながら、全体最適を計っているのではないかと思います。
ヘルパーさんを雇うことによって奥さんが自分のキャリアを模索する期間が確保できたり、自分の勉強のために時間を費やすことができます。さらに奥さんと子どもたちが向き合う時間が増えたり、生活の質を上げることができます。ヘルパーさんを雇用することによるポジティブな足し算があることをもっと知ってもらいたいと思っています。

ヘルパーさんとの暮らしを通じて、もし日本で奥さん独りが家事や子どもの面倒をみることを想像するとその方が異常だと思い始めました。日本では家事と育児に加えてフルタイムで働いている女性も多数いらっしゃいますが、これはとても大変なことにチャレンジしているのだと改めて思います。

日本に住んでいてまわりの人たちもそうしていると、男女問わずそれが当たり前だと認識してしまっていますが、それは少なからず無理をしたり、理想とすることを諦めているのかもしれません。シンガポールというヘルパーさんを雇用できる環境だからこそ、シンガポールにある日本企業が帯同している奥様のために積極的に雇用を推奨してもいいのかもしれませんね。

Q. ヘルパーさんを雇用してからの生活の変化はありますか?奥様の変化はいかがでしょうか?

A. 一番上の子どもが小さい頃から雇用しているので生活の大きな変化は感じませんが、ヘルパーさんがいないことを想像すると、子どもと接する時間がもっと減るのではないかと考えます。
 またヘルパーさんと妻が上手く行っている時は、妻も自分の時間を持つことができていたし、家族で土日も丸っと一日中楽しむことができていました。とにかくヘルパーさんと妻が上手くいき、妻の心が平穏であることが一番だと認識しました。

 一方で、もし日本に本帰国した際に、ヘルパーさんがいない生活で上手く家事や子育てが回るのかどうかという不安もあります。丸一日ヘルパーさんがいない生活を送ってみて、自分たちで全てやってみるとか、徐々にいない生活に慣らしていくということが必要でしょう。それと同時にヘルパーさんが起こしやすい失敗に気が付き、未然に防ぐための策を練ることができたり、失敗に寛容になれることもあると思います。

Q. お子様の生活の変化はいかがでしょうか?

A. 今のヘルパーさんで3人目ですが、交代時にもすんなりと受け入れていました。子どもの順応力はすごいですね。
 子どもたちがヘルパーさんに甘え過ぎないようにするためにも、人に物を頼む時は子どもたちに自らお願いするように伝えたり、自分のことは自分でするように言ったりと、自立を促すように心がけています。
 妻とヘルパーさんの不仲は子どもたちにも良い影響はないと思っています。上の子はその口論の様子を見ていますし、まだ言葉が話せない下の子もそういった口論の言葉のシャワーを浴びることは精神衛生上、健康的ではないと思います。やはり妻とヘルパーさんが上手くいくというのは重要なことですね。


&H[アンドエイチ]は、2018年に外国人メイドさん/ヘルパーさんを雇用する主婦が集まり立ち上げたコミュニティです。外国人ヘルパーさんと良好な関係を築くためのヒントや情報などをお届けしています。

現在、ヘルパーさんに日本の家庭料理を学んでもらう料理教室を定期開催中。「美味しい和食が家でも食べられる!」「ヘルパーさんのモチベーションアップにもつながる!」と評判です。

他にも新作の「小説」「私のまわりのヘルパーさん」はもちろんのことヘルパーさん自身や雇用主の旦那様へのインタビューや雇用前の不安やトラブルに巻き込まれた経験を語り合う座談会の様子などの他ではなかなか手に入らない情報が満載です。

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