【クラフトビール解体新書 vol.12】意外に見落としがち!?こんなところにもビールバー

【2024年2月アップデート版】

皆様、こんにちは。

今月も楽しくビールライフをエンジョイしていますか?

この狭いシンガポールに、今や所狭しと立ち並ぶクラフトビール店。決して便利とは言えないような場所なのに繁盛しているお店もあるのが驚きですが、その反面、案外好立地なのになぜか見落とされてしまう、エアポケットのような不思議なお店もまた存在します。

今回紹介したいお店は、クラフトビールファンにとっては盲点ともいえるお店ですが、お店がガラガラという意味ではなく、クラフトビールファンとは違う層のお客さんで賑わっています。

立地的にとても便利で、クラフトビールにとどまらない個性を持った、ユニークなお店ぞろいですので、知っておくとちょっとした時に重宝すること間違いなしです。

いつもは行きづらい場所のお店ばかり紹介しているので(苦笑)、今回はきっと皆様にも安心していただけると思います。

では、紹介していきましょう。

<広瀬礼仁>
シンガポールのクラフトビール専門店「SG TAPS」店長兼ウエイター。
当地シンガポールにて、クラフトビール業界に5年程関わったのち、2018年4月に独立。ビールを始め、日本酒、ワイン、ウイスキーなど、アルコール文化に対する愛は誰よりも広く深いと自負している。

[Wine Connection Tapas Bar & Bistro (Robertson Walk)] 

11 Unity St, #01 – 19 / 20, Singapore 237995

クラフトビールバーのコラムと言っておいて、いきなりワインコネクションとはのっけからフェイント的な感じですが、このワインコネクションのロバートソン店に関しては、意外にもビアパブとしても十分利用いただけるポテンシャルを持っているのです。

ワインコネクションは島内に数えきれない程の店舗を展開するボトルショップですが、その内数軒はビストロダイニングとして営業しており、ワインとお食事をリーズナブルに味わえます。

その中でも旗艦店といえるこのロバートソンウォーク店は7種類のドラフトビールに加え、8種類のボトルビールをサーブしています。

ワインバーですので当然ワイン棚の方に目がいってしまい、バーカウンターに視線を移す人はいないかもしれません。しかしこのロバートソン店には一人で飲むための立派なカウンターがあり、その目の前にはタップをいくつも携えた立派なビアサーバーが設置されています。

ドラフトビールは主にピルスナータイプとウィートタイプで、全て自社輸入のドイツ・ベルギービールです。レギュラーサイズ11ドル、スモールは6ドルと、ワインだけでなく実はビールもリーズナブルです。

どのビールもさっぱりして飲みやすく、基本的には全てのワイン用の料理にも合わせやすいと思います。

ボトルでは、サクランボの入った野生酵母のベルギービール「クリーク」などがありますが、ビールの様でそうでない甘酸っぱさが特徴ですので、ワイン好きの方にもおすすめです。

料理のリーズナブルさも特筆もので、5ドル・10ドルのおつまみシリーズが充実しているほか、ボリュームたっぷりの自社輸入のチーズ盛り合わせや、ほとんどが15ドル以下のパスタの品ぞろえなど、ワインを楽しませる仕掛けがたくさん詰まっていますが、それをビールに変えたとしても変わらず楽しめること間違いなしです。

和食が集まるロバートソンキーエリアにありますので、日本人にはとても馴染みのある場所だと思います。ちょっと意表をついてワインコネクションでビールパーティーはいかがでしょう?

  • 価格:安い
  • クオリティー:ビールのクオリティーは平均的
  • 雰囲気:いつもワイワイしている
  • トイレ:ビルのトイレなので鍵の番号を聞かないといけない
  • アクセス:フォートカニング駅より5分
  • 一口ポイント:ワイン専門店でビールを飲む背徳感

[Morganfield’s (Bar MF)]【閉店】

181 Orchard Road, Orchard Central, #11-03/04 Singapore 238896

オーチャードのど真ん中の高層階にあり、こんなに開放感溢れる雰囲気と素晴らしい眺めがありながら、ここまでクラフトビールバーとして知られていない場所も珍しいかもしれません。

このモーガンフィールズは、シグネチャー料理のスペアリブなど迫力のあるアメリカングリルを専門とするダイナーで、現在島内に4店舗を経営しています。

基本的には豪快なグリル料理を楽しむレストランとして親しまれていますが、このサマセット店だけは、立地の関係からか、屋外席にクラフトビール専門のMFバーという別ゾーンを構えており、12種類のアメリカンクラフトビールを飲みながら、12階からのオーチャードの眺めを楽しめます。

1パイントは14~16ドル程で、ピルスナー、ペールエール、IPA、スタウトまで、一通りのカテゴリーを揃えたラインナップですが、アメリカンな料理に合わせ、どれもマニアックになりすぎない飲みやすいビールになっています。

中の席でもクラフトビールは飲めますが、ビールを飲むならやはり外席が圧倒的におすすめです。

当然外席からも自慢のグリル料理は注文できます。スモーキーで濃厚なバーベキューソースをたっぷりと塗りこめたスペアリブとクラフトビール。肉食ビール党は狂喜乱舞することになるでしょう。

ちなみにこの店の少し奥に入ると、草間彌生さんのインスタレーション作品をフィーチャーした空中庭園があり、その可愛らしさに相当癒されるんですが、なぜこんなところに作ったのか不思議なくらい目立たない場所にあるので、こちらもあまり知られていないようです。

このお店を訪ねる際にはぜひ草間彌生庭園ものぞいて下さい!

ドン・キホーテ・オーチャード店からエレベーターで直結です。お買い物のついでにぜひ!

  • 価格:グリルは案外高い
  • クオリティー:良い
  • 雰囲気:まさにオーチャードのエアポケット
  • トイレ:きれい
  • アクセス:ドンキから直結
  • 一口ポイント:実は草間彌生ファンに教えたい

[Takumi Craft Beer Bar]【閉店】

5th Floor, Lobby of Mandarin Orchard Hotel, 333 Orchard Rd Singapore 238867

同じくオーチャードにあるかなり隠れ家的なクラフトビールバーです。

マンダリン・オーチャードの5階、ホテルロビーのすぐ横にあり、14席ほどしかない小さなカウンターバーです。

こちらは、同じくサマセットにある、日本の地ビール専門店「Jibiru」の系列店で、やはり同じように日本の珍しいクラフトビールのドラフトを6種類提供しています。ボトルの数はさらに20種類以上あり、ここに来るだけでもかなり日本のクラフトビールを網羅することができます。

クラフトビール専門のグラスと、しっかりと温度管理されたサーバーで提供されますので、キリっと心地よいビールを味わうことが出来ますし、外の喧騒から隔絶された落ち着いたホテル内で飲むこともあって、他のクラフトビールバーよりも2ランクくらい上の気分を味わうことができます。

14席のカウンターバーと紹介しましたが、実はこの「TAKUMI」は、ホテルの直営バーである「バー・オン・5」のすぐ横にあり、バー・オン・5のソファー席からも注文することができます。

さらにこのバー・オン・5はベランダの屋外席を設けており、その隅には何と、オーチャードに数えるほどしかない公共喫煙所を確保しているのです。

つまりこの「TAKUMI」、カウンターバーとあなどるなかれ。

なんとホテルラウンジ並みのソファーで飲め、合法的に敷地内で喫煙もできる、そしてビールが苦手な方は隣のバーから本格カクテルやウイスキーも頼めるという、極めてハイスペックなクラフトビールバーなのです!

しかも金土は午前2時までの営業なので、2次会3次会にももってこい。

それでいてお値段はパイント16~17ドルと、隣のバー・オン・5のタイガービールより安いから驚きです。

夜の9時半ごろまではホテルキッチンのおつまみや、チャッターボックスの高級チキンライスも注文できるようです。

接待での2次会や、日本からの出張者の方を案内するのにも使える、数少ないクラフトビールです。

  • 価格:お手頃
  • クオリティー:とても良い
  • 雰囲気:他のクラフトビールバーと一線を画す雰囲気
  • トイレ:ホテルレベル
  • アクセス:サマセット駅から5分
  • 一口ポイント:実はかなり使い勝手が良い

[MOA Tiki Bar & Grill]【閉店】

30 Victoria St, #01-31 Singapore 187996

ニュージーランドの有名クラフトビール「Moa」が経営するレストラン「Moa Tiki」のシンガポール店です。

チャイムスというバー・レストラン街の中にありますが、このチャイムスという建物、1800年代のキリスト教修道院を改装したという歴史的建造物で、複雑な構造と広い中庭が特徴的。

国家指定の遺産でもあるというこのチャイムス(本当はSは発音せず、チャイム、だそうですが)、そんなところに世俗の極みともいえる飲み屋街を作ってしまうシンガポール、本当に商売の聖地ですね。

ゴシック様式の尖塔と白亜の外観は荘厳で、その中庭に所狭しと並べられたおしゃれバーでシャンパンやテキーラショットを飲んでいる様は、一言で言って「俺、今セレブ」。セルフィーの一つもいっときたくなるのは間違いないでしょう。

「Moa Tiki」はそんなセレブエリアの一角にあり、やはりセレブ気分を味わえる外席が人気です。実際のセレブな方々も、皆さん開放的な外席を好む傾向が顕著で、中のバーカウンターを覗く人はなかなかいないようです。

このお店自体がニュージーランドをイメージした、ステーキや海産物をベースとしたメインデッシュ、そしてニュージーランドワインを売りとしているので、訪れる人はレストランとして認識していて、やはりメインデッシュに合わせほとんどの方はワインを召し上がるようです。

そのため、経営元のMoaビールのドラフトが8種類も並んで、しかもきちんとしたコールドルームからサーブされている立派なタップバーに誰も気づく人がいないという、残念な状況です。

しかし当然、Moaの直営なわけですから、ビールのバラエティーとクオリティーは保証付きです。ニュージーランドお得意のモルトとホップのフルーティーさを前面に押し出した、薫り高いビールを揃えています。このMoaビールはワインとシャンパンの技法を取り入れて、新鮮さをキープする製法を確立しているそうで、そのあたりもビールの味との関りが大いにありそうです。

パイントが12.5ドル、スモールは10ドルと、高級店の多いチャイムスの中ではかなりリーズナブル。しかもハッピーアワーにはさらに安くなるので、雰囲気を考慮しても夕暮れ時に訪れるのが良いでしょう。

料理も、自慢のグリル盛り合わせやシーフード盛り合わせが35ドル程、ピザもパスタも15ドル前後のものが多く、このエリアとしてはリーズナブルと言っていいでしょう。ボリュームもあり、味もとてもしっかりと作られています。

高層ビルの谷底の中世風教会でクラフトビール。都心に居ながらにして不思議な異世界を味わえるシンガポールならではの体験です。

お仕事帰りやお買い物ついでの一杯にぜひ!

  • 価格:比較的リーズナブル
  • クオリティー:良い
  • 雰囲気:セレブ感満載
  • トイレ:遠いし数が少ない
  • アクセス:シティーホール駅より5分
  • 一口ポイント:人の世の聖と俗を同時に感じながら飲む

[abv @ Southbridge]【早朝&深夜営業停止】

210 South Bridge Rd Singapore 058759

早朝から飲みたい方必見!私個人もかなりリピートしているお店です。

サウスブリッジロード沿い、サウスブリッジホテルの1階にある、ホテルの朝食も兼ねたダイニングバーです。

ホテル直営なので、朝7時から深夜3時までと、限りなく24時間営業に近い形でオープンしている希少なバー・レストランで、早朝から深夜まで、食事も含めて美味しいビールをいただくことが出来ます。

私などは、自分の店を片付け終わるのが朝になってしまったりすることもあるので、家まで歩いて帰る途中に朝7時ごろここで一杯飲んで帰ったりします。

このお店のいちおしビールは「アーキペラゴ」という、シンガポール最大手のクラフトビールです。

サマーIPA、トロピカル・ペールエール、ボヘミアンラガーなど6種類のアーキペラゴビールと、プレミアムモルツ、プレモル黒の8種類のドラフトを揃えています。

価格がとてもリーズナブルで、プロモーションとしてオールデイハッピーアワープライスで提供しているので、プレモルのパイントが7.5ドル、アーキペラゴは10ドルです。

プロモーションと言いつつ一年くらいこの価格なので、多分これからもずっとこの値段だと思います。

アーキペラゴももちろん美味しいですが、ここのプレミアムモルツはよく冷えていてとても美味しいです。自分はここではクラフトビールではなく、あえてプレモルを飲んでしまいます。

グラスワインとジムビーム・ハイボールはなんと5ドルという驚愕の価格で、特に行くつもりはなくても、横を通ったついでについ一杯寄ってしまう程の魅力があります。

午前7時から11時まで注文できるブレックファーストプレートも17ドルでボリュームがあり、これに朝ビールを組み合わせると最高の一日がスタートできることうけあい。

ランチ、ディナーのお食事も充実していて、キッチンも深夜まで開いていますので、月曜から日曜までどの時間帯でも利用できるお店です。

この辺りでどこかちょっと一杯飲もうかと迷ったら、とりあえずこちらのお店ではじめて見るのはいかがでしょうか?

  • 格:ドリンクは格安
  • クオリティー:良い
  • 雰囲気:オーセンティックなクラシックバー
  • トイレ:きれい
  • アクセス:チャイナタウン駅5分
  • 一口ポイント:ちょっと立ち止まって一息つけるようなお店

いかがでしたでしょうか?

今やクラフトビール店であふれかえるシンガポール。

ドラフトビールが30種類もあるお店や、恐ろしくマニアックなビールばかり揃えているお店、自社ブリュワリーからそのままビールを提供するお店。。。あらゆるタイプのお店が出そろってきました。

そこで今回は、立地的に訪ねやすく、クラフトビール以外の魅力も兼ね備えたお店を紹介してみました。

いつもどちらかといえば変わり種&辺鄙な場所の紹介が多いので、たまにはふらっと入りやすいハードル低めのお店たちもよいのではないでしょうか?

何かのついでにでもぜひ行ってみてください!

まだまだご紹介差し上げたいお店はたくさんあり、書いても書いても追いつきません!

それではまた次回も、楽しいお店を紹介いたします。

シンガポールのおすすめクラフトビール

過去のクラフトビールコラムはこちら⇩
https://byst.sg/category/blog/food-drink/craft-beer/

SG TAPS
島内唯一シンガポールのクラフトビールが14種類、生で飲めるシンガポールビール専門店。 ボトルビールでは更に、日本、香港、ベトナム、台湾、インドなどのクラフトビールを揃え、アジアのクラフトビール文化を底上げしていきたいと考えている。 ラクサピザ、奄美鶏飯風チキンライスなど、ローカル、和洋食を絶妙に組み合わせたユニークなフードも人気。
https://www.facebook.com/SGTAPS13/

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