【&Hによる暮らしのノート】ヘルパー/メイドのいるシンガポールライフ vol.4

■連載小説 -星と陽の間で- 第2話■

 

あらすじ

夫のシンガポール赴任に伴い来星することになった主人公・映子が、シンガポールと日本の価値観の間で揺れ動く。

そんな映子のこれから始まるシンガポール生活への不安や困惑、希望を描いたストーリー。

【第2話】

「いいじゃない、シンガポール!映子、駐妻じゃない!憧れるなー、子供はヘルパーさんに任せてマッサージにハイティーに。そんな生活私もしたいよ」

「待って、佳奈。言ってることの半分もわからない。ヘルパーさんって何?ハイティーって何?」

「あれ?映子知らない?シンガポールってお手伝いさん雇ってる人多いのよ。メイドさん。詳しいことは私もよく知らないんだけど、日本人でも雇ってる人けっこういるみたいだし。私の友達も雇ってるって言ってたよ。シンガポールは帯同した奥さんも働けるしね。映子、また働いてもいいんじゃない?」

「え?お手伝いさん?どういうこと?私、普通の専業主婦だよ?専業主婦なのに何を手伝ってもらうの?」

いつもの笑顔でサラっと言う佳奈の言葉が全く理解できない。

「興味があるならその友達紹介するよ?大学の時の友達で美子っていうの。ご主人がシンガポールで起業してもう4年ぐらいあっちに住んでるんじゃないかな?今度の出張の時にでも会えたらいいね、って言ってるから会えたら紹介しておくね。

あ、ゴメン。4時から次のミーティングだ。
ってかスゴイね、芽衣ちゃん。ずっと寝てたじゃん、親孝行だね。せっかく外国に住むんだから日本じゃできないこといっぱい経験しておいでよ。芽衣ちゃんもトリリンガルも夢じゃないよ。出張から帰ったらまたランチでも行こう!じゃあ」

「あ。う、うん…。ありがとう。じゃあ、また」

挨拶もそこそこにカフェを去った佳奈の言葉が頭の中をグルグルめぐる。

ヘルパーさん、メイドさん、お手伝いさん、美子さん…

でも美子さんのご主人は社長さんだからお手伝いさんも雇えるんじゃないの?

私もそれなりに不自由なく生活させてもらってはいるけれど、それでも普通の会社員の家庭がお手伝いさんを雇うなんてとんでもなくない?

「あ、ハイティーって何か聞くの忘れちゃった…。あ、お手伝いさんのこと以外シンガポールのこと聞いてないや…」

お手伝いさんかぁ…

家に帰っていつものように芽衣の世話をし、家事をしていても佳奈の言葉が頭の中をグルグルめぐる。

ヘルパーさん、メイドさん、お手伝いさん、美子さん…

やっぱり美子さんは社長夫人だから…

でももし、万が一、私がお手伝いさんを雇ったらどんな生活が待っているんだろう…

そんなことを考えていたらウトウトしていたようだ。

お手伝いさんがプールサイドに寝そべっている私に綺麗な色のジュースを持ってきてくれる夢を見ていた。

そして彼女に何かを話しかけようとして目が覚めた。

え…お手伝いさんって何語話すの?

「映子、引っ越す前にシンガポールに下見に行って家決めなくちゃなんだけど」

玄関に向かいながら夫がこう言った。

「だよね。私も転勤の話を聞いてからシンガポールについてちょっと調べてみたんだ。でも何を基準に選んだらいいのかさっぱりわからなくて。便利なところがいいのか、少しぐらい不便でも環境のいいところがいいのか。日本人が多いところはお付き合いが大変だって聞くし、でもママ友は欲しいし…。ねぇ、どう思う?」

「うーん、俺は日中家にいないから映子が住みたいな、って思うところでいいよ。ちなみにオフィスはタンジョンパガーだから。じゃあ行ってくる」

「あ…行ってらっしゃい」

また丸投げ。育児と一緒。

どこよ、パガーって。

何年ぐらいで帰って来れるんだろう。芽衣はシンガポールの幼稚園に行ったりするのかしら。

その前にそろそろ離乳食を始めようと思ってたんだけど、シンガポールで離乳食って作れるの?シンガポール製のレトルトを使うことになるの?

考えれば考えるほどいろんな事が気になってくる。

最近芽衣が寝ている時間はほとんど駐妻ブログで情報収集。

みんなマッサージに行ったりランチに行ったり楽しそうな毎日を送っている。

私もこんな生活をするようになるんだろうか…

ついでにお手伝いさんのことも調べてみた。

…え???お手伝いさんて基本住み込みなの?!

他人でしょ?外国人でしょ?どうやって一緒に住むの?

やっぱり私にはできそうもない。私というよりも他人と住むなんて夫の方が無理だろう。

しかも何か盗られたとか嘘つかれたとか、ネガティブな話ばっかりなんだけど。

そんな思いをしながらもお手伝いさんを雇うメリットって?

お手伝いさんについての謎は深まるばかり。

-やっぱり私にはお手伝いさんは無理だわ-

そんなことを考えているとピンポーンとインターホンが鳴った。

<第3話に続く・・・>

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